廃校をスマート工場に カワトT.P.C. 自動・遠隔監視で無人化

(2024/8/14 12:00)

  • CNC旋盤などで構成する八つのラインが稼働した萩工場

カワトT.P.C.(山口県岩国市、桐田直哉社長)は、7月に山口県萩市で工程をほぼ無人・自動化した金属加工工場を稼働した。24時間365日稼働し、本社工場から状況を遠隔監視する。社員は1日数時間、素材の供給や製品の出荷準備などを行う。元々は廃校の体育館だったが、人工知能(AI)などデジタル技術を活用しスマートファクトリーとして生まれ変わった。

カワトT.P.C.はマンションやビルなどのプレハブ配管システムを生産する樹脂加工事業部と、住宅設備向けの水栓金具など金属加工のテクマック事業部の2事業を展開する。2024年3月期の売上高は約77億円。テクマック事業部は顧客の国内生産回帰などを背景に受注が伸びている。

テクマック事業部の生産拠点は今回の萩工場のほか、本社敷地内に第1工場から第5工場まである。一つの工程は棒状の金属素材を供給する装置、コンピューター数値制御(CNC)旋盤、搬送用ロボット、検査用カメラなどで構成。工程はほぼ自動化しており、稼働状況はタブレット端末で遠隔監視する。

工作機械の稼働状況を遠隔監視できるシステムは、21年度からの完全週休2日制導入に合わせて導入した。現場の稼働状況を常時確認できるほか、異常時はメールを送信し社員に知らせる。また監視用のカメラを設置し、機械に異常が発生した際には休日でもスマートフォンで状況を確認できる。

  • 萩工場の外観。廃校の体育館をDXも活用してスマートファクトリーにした

萩工場ではこうした自動化の取り組みをさらに進化させた。工場のコンセプトは「デジタル変革(DX)を活用し、24時間365日稼働するスマートファクトリー」。装置の稼働状況などは本社工場で集中管理し、切削する際の寸法補正も自動で行う。加工した製品は全数を外観検査と寸法測定し、AIも活用する。1日1人の社員が数時間勤務すればよく、「副業も可能な工場にした」(桐田社長)。

萩工場は廃校となった旧山口県立奈古高校須佐分校の体育館を再利用しており、延べ床面積は約880平方メートル。自動化を進化させると同時に、中山間地などで社員が副業として工場に勤務する初めての試みでもあった。

社員募集には15人の応募があり、萩工場周辺に住む4人を採用した。川戸俊彦会長は「都会で暮らす子どもが親の仕事を手伝いたいと思えるきっかけになればいい」と期待する。今後、萩工場と同様に廃校を利活用した工場を2カ所設ける計画を進めている。

(2024/8/14 12:00)

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