(2024/8/14 12:00)
SING(シング、福岡県久留米市、中野英司社長)は、シリコーンゴム製品のメーカー。九州産業大学などと連携し、海洋プラスチックゴミを生かした日用品を開発した。新たな製品を生み出す「アップサイクル」を通じて海洋プラゴミ問題を発信し、シリコーンゴム素材の可能性を広げる。中野社長に取り組みへの思いを聞いた。
―連携の経緯を聞かせてください。
「以前から外部のデザイナーやクリエーターと一緒に製品をリニューアルするイベントを実施している。製造のことは考えず、『こういう物があったら面白い』と奇抜なことを言われるケースもあるが、挑戦してきた。紙、繊維、木材を混入した製品もあった。九州産大芸術学部の伊藤敬生研究室の海洋プラゴミの活動を知っており、今回お願いした」
―コースターなど日用品を選んだ理由は。
「ゴミ問題はプラスチックが悪いのではない。処理の仕方に問題がある。プラスチックは人の役に立つために作られた。もう1回、かわいがってもらえる物にしたかった。見た目で廃材と分かるようにすることでプラゴミ問題を認識してもらいたい。プラスチックを粉砕する際の大きさも、いろいろと作って検討した。素材をうまく利用して価値を出せるよう意識した」
―製作で苦労した点は。
「シリコーンの成形には熱をかける。廃プラ素材の詳細が分からず、熱でどう溶けるか、金型にどう影響するかが怖かった。試行錯誤で『金型にこびりつくタイプ』などが少しずつ分かってきた」
―既存製品には医療機器向け部品などBツーB(企業間)向けと、マグカップなどBツーC(対消費者)向けがあります。今回の連携は今後の事業にどうつながるでしょうか。
「従来、BツーC向けにはシリコーンの可能性を伝えたいという思いがある。鉄や磁石を入れ込むことや大きな製品を作ることもできる。どのような物が作れたり、色が出せたりするかを知ってもらうことでBツーBの仕事を呼び寄せる」
―今後の環境問題への対応は。
「生産工程で出るバリや不良品など、廃棄していた素材を社内でゼロにしようと取り組んでいる」
(2024/8/14 12:00)
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