インタビュー/エア・ウォーター理事・右城望氏 CO2排出原単位でエネ選択

(2024/8/22 12:00)

―酸素や窒素などの産業ガスは空気分離装置を利用して空気から製造するため、原材料費の大半を電気代が占めています。電力を調達する上で重要な点は。

「全国各地の当社拠点が個別に電力会社を選んで契約し、電力を調達している。今後はその体制を見直し、本社で一括管理して電力会社を選び、安い電力を調達できるようにする。各拠点の現行契約の終了時期を見ながら2024年度中に順次対応したい。単に価格だけでなく、二酸化炭素(CO2)排出原単位が低い電力を選ぶという観点も重要だ」

―CO2排出原単位を考慮する意義は。

「CO2の問題を放っておくと将来的にコストとして跳ね返ってくる。少なくとも28年度に炭素賦課金が導入されたら、その分が電気代に転嫁されコスト増になる。コスト削減は、調達とカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の両面が大事だ。当社は30年度までにCO2排出量を20年度比30%削減する目標を掲げている。それに向けて非化石証書の購入、『スコープ1』(自社での直接排出)におけるバイオマス発電への転換、再生可能エネルギー電源の導入なども進める」

  • 日本海水の赤穂発電所第1バイオマス発電設備

―足元の状況は。

「スコープ1の観点としては、製塩事業子会社の日本海水(東京都千代田区)が独自に発電設備を持つ。同社の赤穂工場(兵庫県赤穂市)では、バイオマス発電で発生させた蒸気を製塩工程にも使い、発電した電力を売電している。一方で同社の讃岐工場(香川県坂出市)はまだ従来通りの石炭焚きなので、CO2排出量削減に向けては、讃岐工場の改善が今後の検討課題となる」

―今後の方針は。

「エア・ウォーター小名浜バイオマス電力(福島県いわき市)や日本海水TTS苅田パワー(東京都千代田区)などもバイオマス発電設備を持ち、売電している。ただ今後、電気代が高騰して再生エネの売電価格を上回る事態になれば、これらのバイオマス発電の電力を当社グループに供給することも検討する」

(2024/8/22 12:00)

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