(2024/9/3 05:00)
「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が、気象庁から8月8日に初めて発表された。15日までの1週間、巨大地震の発生に注意する一方、通常の生活を継続するよう呼びかけていた。どこまで身構えればいいのか、対応に戸惑った自治体や住民も少なくなかった。避難所開設や宿泊施設のキャンセル、鉄道の減速運転など、過剰反応はなかったのか。政府は十分に検証して課題を洗い出し、「その日」への備えを進めたい。
宮崎県日南市でマグニチュード(M)7・1の地震が8月8日に観測された。気象庁は同日に「南海トラフ地震臨時情報」を発表し、関東から九州にかけて、1週間は巨大地震に注意するよう呼びかけた。臨時情報は、M8クラスの地震が指定地域で発生すれば「警戒」、M7以上8未満なら住民に「注意」喚起する。「警戒」は1週間の避難継続など、「注意」は避難の必要がなく、家族との安否確認方法の確認や家具の固定、備蓄などの対策が求められた。
巨大地震の発生確率は平時より高まったが、気象庁は冷静な対応を呼びかけていた。ただ2019年に運用が始まった同臨時情報は、自治体や企業、住民に十分に周知されていたとは言えず、対応には差があった。
避難所の開設、海水浴場の閉鎖、花火大会の中止などは自治体間で対応が異なり、住民の一部では飲食料品の買い占めや宿泊予約のキャンセルなどが起きた。地震臨時情報の仕組みを知らなかった住民が少なくない。政府は今回の臨時情報の発表を十分に検証し、住民への呼びかけの内容などを再検討し「正しく恐れる」環境を整備したい。
政府は、南海トラフ地震の被害想定を年内にも見直し、現行の「防災対策推進基本計画」を改定する予定だ。計画の策定から10年たつためで、これまでの防災対策の進捗(しんちょく)を確認し、新たな防災目標を設定するという。企業はこれを機に事業継続計画(BCP)を再点検し、供給網への影響を最小限にとどめる備えを講じておきたい。BCPを策定していない中小企業も新たな対応に動く必要がある。
(2024/9/3 05:00)
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