ヤンマーシンビオシス、観光農園で障がい者雇用 管理職研修で理解促す

(2024/9/3 12:00)

障害者雇用促進法の改正により、法定雇用率が年々引き上げられる中、雇用の定着や活躍の場を広げる企業努力が欠かせない。ヤンマーホールディングス(HD)の特例子会社であるヤンマーシンビオシス(大阪市北区、土井義典社長)では、滋賀県栗東市で自社農園を活用した観光農園事業を新たに始めたほか、ヤンマーグループの全管理職を対象に、障がい者雇用の理解をより深めることを目的とした研修制度を導入した。

  • 栗東センターでは8人の障がい者が働く

1月にヤンマーシンビオシスの栗東センター(滋賀県栗東市)で体験型観光農園が開業した。5月まではイチゴ、夏はプチトマトの収穫を体験できるほか、収穫した野菜などで本格的なスイーツやピザ作りを楽しめる。開業から5月上旬までに約2000人が来場するなど好評だ。

それらの運営を支えるのは精神疾患や障がいのある8人を含む17人の従業員。接客は健常者が中心で行い障がいのある従業員は主に栽培管理を担う。植物の成長に応じて茎や葉を支柱に固定する誘引作業や、果樹などの生育を阻害する葉の内側にある芽を摘み取る作業で、実が甘く大きく熟すために重要な作業だ。

障害者雇用促進法の改正で全従業員に占める障がい者雇用率は24年4月の2・5%から26年7月には2・7%に引き上げられる。ヤンマーHDは24年3月時点で2・55%と法定雇用率を達成。30年に3%を目指している。

  • 体験型農園では5棟のビニールハウスでプチトマトや夏イチゴを栽培している

2014年に立ち上げた栗東センターでは滋賀県産のニンニクやタマネギなどの野菜、農家向けの花苗や野菜苗を栽培する農園事業を行ってきた。観光農園事業に手を広げることで「障がい者の職域を広げることにもつながる」(ヤンマーシンビオシス滋賀事業部の太田光典事業部長)と指摘する。

ヤンマーシンビオシスが独自に規定する行動指針には、「自分の仕事に誇りを持って行動します」といった七つの求める人材像を掲げる。入社時は契約社員でスタートするが、行動指針に照らし合わせた評価で最速2―3年で正社員に昇格できる仕組みも整える。

雇用の定着にも取り組む。障がい者と働くことへの理解をより深めることを目的に、夏ごろから全事業部の管理職を対象とした研修をスタート。研修は週に1度実施する予定。障がい者メンバーとのディスカッションや実際に一緒に働くことを通じ、「各事業部で今後何を頑張っていくかを設定してもらう」(同)ことで、働きやすさの改善などへつなげる狙いだ。

(2024/9/3 12:00)

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