社説/自民党総裁選 政治不信拭う本気度が試される

(2024/9/12 05:00)

自民党総裁選が12日に告示される。派閥の縛りがなくなり、過去最多の立候補者を数える異例の選挙となる。自民党が総裁選で最も問われているのは、失われた国民の信頼を取り戻せるかだ。衆院解散・総選挙を見据えた「選挙の顔」を選出することではない。政治資金問題の抜本改革への本気度、さらに岸田文雄政権から引き継ぐ山積する政策課題にいかに臨むのか、15日間の選挙戦の論戦が、自民党の今後を占うと注視したい。

岸田首相が総裁選への不出馬を表明して約1カ月。麻生派を除く派閥が解散を決め、派閥の縛りがなくなったことで、立候補者は過去最多の5人からほぼ倍増した。多くの立候補者が自らの意志や同志に推されて出馬する状況は健全と言える。問題は、政治不信の払拭に本気で取り組む覚悟があるかだ。岸田政権の看板をかけ替え“刷新感”を演出するだけなら自民党への有権者の政治不信は拭えない。

「政治とカネ」をめぐる焦点の一つが、政党が議員に支出する政策活動費のあり方だろう。使途も非公開だ。自民党は同活動費を存続し、10年後の使途公開を決めるにとどめている。総裁選では同活動費の廃止や、使途公開期日の大幅な前倒し、裏金の国庫返納などを訴える候補者もいる。こうした訴えが党内の反対勢力を抑え、政治資金を透明化できるのか。総裁選後の政権の対応が問われてくる。

次期衆院選で、自民党が裏金に関与した議員を公認するかも各候補者の見解をただしたい。

岸田政権から引き継ぐ政策課題は少なくない。デフレからの完全脱却、エネルギー問題、外交、安全保障などについて、各候補は積極的に議論を戦わせてほしい。防衛費や少子化対策をめぐる恒久財源の確保も欠かせない。経団連が早期の導入を求める選択的夫婦別姓など、候補者間で温度差がある課題についても議論を深めてもらいたい。

総裁選候補者は13日、自民党本部で共同会見に臨み、14日には日本記者クラブ主催の討論会に出席する。27日の投開票までの選挙戦で、踏み込んだ論争が繰り広げられると期待したい。

(2024/9/12 05:00)

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