(2024/9/20 05:00)
米連邦準備制度理事会(FRB)が約4年半ぶりとなる利下げを決めた。利下げ幅は通常の2倍に当たる0・5%。本来なら為替相場は円高に振れるが、19日の東京外国為替市場は真逆の円安に傾いた。金融緩和に政策転換したものの、インフレ再燃のリスクを拭えず、市場は今後の利下げペースが緩やかなものにとどまると見通す。米FRBはインフレ抑制と景気下支えの両立に向けて、引き続き慎重な政策の運営が求められる。
米FRBは雇用情勢の悪化に背中を押され、大幅な利下げを決めた。8月の非農業部門の就業者数は前月比14・2万人増と市場予測の17万人増を下回り、失業率は8月まで4カ月連続で4%台と、労働市場の先行き不安を拭えない。米FRBによる金融緩和が後手に回れば、米国経済は減速しかねず、今回の大幅利下げの判断は評価できる。
ただ、米FRBは目標とする消費者物価指数(CPI)上昇率2%を達成できていない。2022年6月に9・1%に達した上昇率は、直近の8月は2・5%まで落ち着いた。だが変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは前月比0・3%上昇と、7月の0・2%上昇から小幅に加速した。物価がなかなか下がらない“粘着性”が懸念されており、2%目標を達成できるかは見通しにくい。
0・5%という大幅な利下げ幅は、景気を必ず支えるという米FRBの強い決意の表れであり、経済の軟着陸に向けた一歩と言える。だが二歩目以降の足取りが不透明である。政策金利は年内にさらに0・5%下がると見込まれるものの、パウエル議長は状況次第で利下げスピードを遅らせたり、利下げを一時停止する可能性を示唆した。他方、米大統領選でトランプ氏再選となれば、移民制限や関税率引き上げ、大幅減税で人件費と物価が上昇しかねない。選挙結果にも留意する必要がある。
米FRBの大幅な利下げも、円安修正につながらなかった。日本の産業界は企業価値を高める成長投資を推進し、稼ぐ力を引き上げることで、円の購買力を高めることが求められる。
(2024/9/20 05:00)
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