社説/自民党総裁選(上)問われる「政治改革」への実行力

(2024/9/26 05:00)

自民党総裁選の投開票が27日に行われる。新総理・総裁の下、政治資金問題で失墜した党の信頼を回復し、政治不信を拭えるかが当面の最重要課題となる。各候補者は選挙期間中、国会議員票を取り込むためか、政治改革をめぐる論戦が踏み込み不足だった。なぜ岸田文雄首相は総理・総裁の再選を断念せざるを得なかったのか。新総理・総裁は問題の原点を見据え、政治改革の歩みを進めてほしい。

同時に、安全保障や経済・財政、少子化、エネルギー問題など、現政権から引き継ぐ山積する課題についても最適解を模索し、日本経済は拡大均衡の成長型経済へと確実に移行したい。

自民党総裁選は派閥の縛りがなくなり、過去最多の9人が立候補する異例の選挙となった。多くの立候補者が自らの意志や同志に推されて出馬する状況は健全だ。だが分散する国会議員票を取り込むためか、「政治とカネ」の問題に踏み込み不足だった感は否めない。党派閥の裏金問題の実態解明や、企業献金のあり方などについて、各候補は後ろ向きだったように映る。

次期衆院選で、自民党が裏金に関与した議員を公認するかも各候補者は踏み込んでいない。

各候補者が政策活動費の廃止や、使途内容の早期公開を訴えていたのは一歩前進だった。自民党は同活動費を存続し、10年後の使途公開を決めるにとどめていた。ただ廃止への党内の反発は必至とみられる。有言実行となるのか、総裁選後の政権の対応を注視する必要がある。

岸田首相が総裁選への不出馬を決めたのは、「自民党が変わる第一歩にする」ためだった。自民党派閥の政治資金問題をめぐり、低下した国民の信頼を回復させるためには、自らが身を引く必要があると判断した。ただ岸田首相の退陣は政治改革への一歩に過ぎない。後任の総理・総裁が政治改革を前に進めなければ、有権者の政治不信を拭えない正念場を迎えている。

自民党総裁選は、衆院解散・総選挙を見据えた「選挙の顔」を選出する場ではない。政治不信の払拭に本気で取り組む新総理・総裁の誕生を切望する。

(2024/9/26 05:00)

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