(2024/9/27 05:00)
自民党総裁選の投開票が27日に行われ、「第102代内閣総理大臣」が事実上決まる。総裁選では、現政権の経済政策を踏襲・拡充する訴えが多く、増税や歳出削減の議論は有権者を意識してか、敬遠されたようだ。防衛費や少子化対策の財源確保、社会保障の持続可能性に大きな課題を残した。中でも社会保障の将来不安を解消することは、消費喚起や少子化対策にも資するはずだ。新総理・総裁の下、議論を深めてもらいたい。
総裁選では、各候補が政治改革への姿勢をアピールしつつ、国会議員票を取り込むためか、踏み込み不足の感を否めなかった。一方、成長戦略や労働市場改革など経済政策では、新総理・総裁の有力候補とされる3氏も論戦が繰り広げられていた。
高市早苗経済安全保障担当相は「税率を上げなくても、税収が増える形をつくる」と先端技術への成長投資を加速する。小泉進次郎元環境相は、成長分野への人材移行を促す解雇規制緩和やライドシェアの全面解禁、石破茂元自民党幹事長は、地方への企業進出やスタートアップへの支援を打ち出していた。高市氏の「強い経済」、小泉氏の「聖域なき規制改革」、石破氏の「地方創生」など、経済政策の独自色は示されたと言える。
岸田文雄首相がそうであったように、3氏も国民の負担増となるような議論には踏み込まなかったように映る。ただ、経済成長だけでは、財政や社会保障の持続可能性を担保できない。
経団連の十倉雅和会長は7月の会見で「社会保障4経費(年金、医療、子育て、介護)を使途とする消費税を含め、税と社会保障を一体的に考えなければならない」と指摘した。社会保障をめぐる将来不安が、若者の消費停滞や少子化につながっている、と警鐘を鳴らしている。消費増税もタブー視せず、社保費の財源について議論を深める時期を迎えていると言える。
短期の経済政策については、デフレからの完全脱却を急ぎたい。新総理・総裁は日銀と緊密に連携し、賃金と物価、金利がともに上昇する成長型経済への移行を円滑に実現してほしい。
(2024/9/27 05:00)
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