(2024/10/11 05:00)
中国政府は2024年の実質成長率目標「5%前後」の達成に向け、景気刺激策を相次ぎ講じる。9月24日に踏み込んだ金融緩和を打ち出したほか、中国財政省が12日の会見で、財政出動についても発表する見通しという。不動産不況が深刻化し、デフレ懸念を拭えない中国経済は回復に向かうのか。世界経済にも影響が及ぶだけに、中国政府の内需喚起策を注視したい。
中国政府は5月、住宅金利の下限撤廃や、各地で売れ残った住宅を地方政府に買い取らせ、安価で販売する対策などを講じていた。だが効果は限定的で、追加の対策が求められていた。
米国が9月18日に利下げに転じたことで、中国政府は金融緩和に動きやすくなった。米国との金利差拡大は人民元安と資本流出のリスクを伴うが、そのリスクが軽減されたためだ。中国政府は同24日、金融緩和を軸とした追加の景気刺激策を打ち出した。中国経済のテコ入れに本腰を入れ始めたと期待したい。
中国人民銀行は、これを受け同27日に市中銀行から預かる預金準備率と事実上の政策金利を引き下げた。預金準備率の引き下げにより約20兆円の資金が市場に供給される。また住宅購入時の頭金規制の緩和や、既存住宅ローン金利の引き下げなど、住宅や個人消費などの内需を刺激する対策も盛り込んでいる。
ただデフレ回避に向け、内需をさらに拡大させる財政出動を求める声が市場に多い。中国政府は25年の中央政府予算から2000億元(約4・2兆円)を24年に前倒し執行する方針だが不十分とみられている。中国財政省が12日に発表予定の財政政策で、2兆元(約42兆円)規模の特別国債発行が表明されると報じる一部メディアもある。中国政府の本気度を確認したい。
中国の4―6月期の実質成長率は年率換算で4・7%と、政府目標を下回る。7月の若者の失業率は17%に達し、8月の消費者物価指数の上昇率は前年同月比0・6%とデフレへの懸念が続く。安価な中国製品を排除する保護貿易が欧米で広がり、外需主導の成長は描きにくい。内需喚起を急ぐ必要がある。
(2024/10/11 05:00)
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