社説/2024衆院選㊤ 政権選択の材料は出尽くしたか

(2024/10/16 05:00)

第50回衆院選が15日に公示され、選挙戦がスタートした。石破茂政権の政治改革に対し、有権者がいかに審判を下すかが最大の焦点になる。議席の過半数維持を目指す自公両党に対し、野党は、立憲民主党が自公の過半数割れを狙う。だが野党共闘が進まず、政権交代後の野党連立の姿は不透明だ。有権者は政権を託す政党・候補者をいかに選択するのか、難しい判断を求められる政権選択選挙になる。

選挙結果は、三つに大別される。①自公が議席の過半数を獲得し政権を維持する②自公が過半数に届かず、政権が交代する③過半数に届かなかった自公が第3党と連立を組み、政権を維持する。自公が過半数を獲得した場合、これを政治資金問題の“みそぎ”とせず、政治不信の払拭に向け、再発防止に万全を期すことが強く求められる。

自公が過半数に届かなかった場合、政権交代が想定される。だが野党は共闘が広がっておらず、過半数を上回る連立を実現できるかは、現時点では見通せない。野党各党は今衆院選で党勢拡大を目指し、小選挙区で候補者が乱立。野党候補者を一本化し、与党と4野党一騎打ちの構図を描き切れていない。野党の足並みが乱れる中、過半数割れの自公に合流する党が出現すれば、自公は選挙に敗北しても政権が維持する可能性がある。

日本維新の会は、各党との関係は是々非々で判断する考え方を示し、政策本位を掲げる国民民主党も他党への協力などを否定しない。政権選択肢が複数あるのであれば、与野党は有権者に明確に示し、審判を仰ぐことが求められる。だが、各党が獲得した議席数によって合従連衡の行方が左右されかねず、ここに今衆院選の難しさがある。

衆院選では、自民党による政治改革、物価高対策などの経済政策、懸案の少子化問題、外交・安全保障問題など、争点も多い。加えて、衆院選は政権選択選挙ながら、政権の枠組みを見通しにくい。投開票は27日。自公連立政権が現状のまま維持されるのか、新たな枠組みを形成する始動の日となるのか、有権者の投票行動を注視したい。

(2024/10/16 05:00)

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