社説/2024衆院選㊦ AI時代に対応したエネ政策を

(2024/10/18 05:00)

日本の電力需要の見通しが大きく修正された。人口減に伴って減少するとみられていた電力需要が、“人工知能(AI)時代”に急拡大する見通しだ。脱炭素や経済安全保障への対応にとどまらず、供給力そのものを引き上げる必要がある。経済界は、再生可能エネルギーとともに、原子力発電を最大限に活用することを求める。有権者は各政党の公約を見極め、日本経済に資する解を導き出したい。

自民、公明、立憲民主、日本維新の会、国民民主の5党は、程度の差こそあれ、原発再稼働を容認する。立憲民主を除く4党は、原発の「最大限の活用」「早期再稼働」などの必要性を訴え、4党は次世代革新炉の開発も推進するという。立憲民主は原発の新増設を認めない。再生エネの重要性については5党の方向はほぼ一致している。

一方、共産、れいわ新選組、社民の3党は「原発ゼロ」「原発の即時廃止」を掲げ、再生エネなどの推進を訴えている。

日本は、エネルギー問題で複数の課題を抱える。脱炭素化や低コスト化、エネルギー安全保障問題にとどまらない。日本は人口が減っても電力需要が急拡大する課題がここにきて浮上している。膨大な計算が必要な生成AIの普及により、データセンターの電力消費が急増し、生成AIを支える半導体の製造にも大量の電力が必要だ。成長型経済に移行する上で、エネルギー問題は大きなカギを握る。

政府の現行のエネルギー基本計画では、30年度の電源構成を原子力20―22%、再生エネ36―38%とした。だが22年度実績は順に5・5%、21・7%にとどまる。再生エネの主力電源化、さらにベースロード電源(低コストで安定供給できる電源)としての原発を最大限に活用しなければ、脱炭素やAI時代への対応を両立させるのは難しい。

原発で安価な電力を安定供給できれば産業競争力が高まり、外資誘致も促しやすくなる。

ただ原発再稼働のハードルは高い。安全を大前提に地元同意をいかに得るか、原発活用を掲げる政党は言葉だけで終わらせない実行力こそ求められる。

(2024/10/18 05:00)

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