(2024/10/23 17:00)
東京メトロは23日、東京証券取引所プライム市場に上場した。鉄道事業の安定性や配当利回りの高さなどを背景に個人投資家を中心に買い注文が殺到。取引開始時には取り引きが成立せず、10時過ぎに付いた初値は上場前の売り出し価格(公開価格)の1200円を36%上回る1630円となった。その後も値を上げ続け、終値は1739円だった。時価総額は1兆円を超え、2024年で最大の新規株式公開(IPO)となった。
上場セレモニーで東京メトロの山村明義社長は20年越しの悲願の株式上場を祝い、高らかに打鐘した。東京メトロのIPOは上場前から投資家の期待が高く、主幹事証券会社によると応募倍率は15倍と、ここ数年でも最高水準の人気を集めた。
背景には鉄道事業の規模と安定性がある。首都圏を中心に9路線を運行し、総延長は195キロメートルと私鉄では4番目だが、24年3月期の輸送人員は23億8473万人と、2位の東急電鉄の2倍以上。1キロメートル当たりの旅客収入では、自社の銀座線と日比谷線が上位2位を占めるなど、ドル箱路線を抱える。
東京メトロは国が53・4%、東京都が46・6%の株式を保有し、今回の上場でそれぞれが2分の1ずつを売却。保有比率は国と都の合計で50%まで低下する。新規株式の発行はないため、東京メトロに売却益は入らないが、国が約1900億円、東京都が約1600億円の売却益を得る。国は売却益を東日本大震災の復興予算に充てる。
(2024/10/23 17:00)
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