インタビュー/ハードロック工業社長・若林雅彦氏 社会に「安全」提供 組織のネジ締める

(2024/10/23 12:00)

ハードロック工業(大阪府東大阪市、若林雅彦社長)は、緩まないネジ「ハードロックナット」で知られ、2024年で創業50年を迎えた。その節目の年の7月、半世紀にわたり同社を率いた創業者の若林克彦会長が亡くなった。創業者亡き後、同社の未来をどのように描くのか。若林社長は組織力の強化を通じた「コト売り」への展開を掲げる。

―社長から見て克彦会長はどのような人でしたか。

「アイデアマンとして知られるが、常に休まず考え続ける努力の人だった。『世のため人のため』を最優先にする姿勢から、身内としては振り回されることも多かったが、会長の創造性、そして利他の精神は当社を支える基盤になっている」

―5年前に社長に就任して以来、組織改革に努めてきました。

「会長に頼りきりのままではいけないと感じ、数年前から本格的に各部門の強化を始めた。高度人材の配置や設備更新など開発グループの強化の傍ら、資格取得の奨励制度を設けた。以来、技能検定や品質管理検定の保持者も大幅に増え、組織として見違えるほどに成長した」

―新しい商材の開発は。

「『ハードロックベアリングナット』は工作機械や産業用ロボットでの採用を目指して展開しているところ。また大阪大学、大阪歯科大学と共同で進めるデンタルインプラントや、大阪・関西万博に出展予定の高強度樹脂ネジも開発中。天才一人のひらめきに頼らずに、科学的手法で課題を解決していく開発体制を整えている」

―今後、ハードロック工業が目指す姿は。

「これまで50年間、当社はいわばネジ締結の最後の砦(とりで)として、各業界からの多様な要求に対し正面から向き合ってきた。今後はこのノウハウを生かし、ハードロックナットをコアとしつつも、『安全』の提供者として社会に貢献していく。世界中のエンドユーザーからより複雑なニーズを取り入れた上で、さまざまな企業・団体と協力し、連合体として技術で応えていきたい。これが会長の夢である『誰もが安心して暮らせる世界の実現』にもつながる。会長が残したハードロックというブランドにはそれだけの力があると確信している」

(2024/10/23 12:00)

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