ヒキフネ、メッキのノウハウ生かし自動研磨機開発

(2024/10/23 12:00)

  • ヒキフネが開発した自動研磨機。長年蓄積したメッキのノウハウを生かした

ヒキフネ(東京都葛飾区、石川英孝社長)は1932年に創業。技術開発に力を注ぎ、装飾メッキ、機能メッキ、精密メッキなど幅広いニーズに応えてきた。メッキ専業のノウハウを生かした小型のメッキ機器の設計・製作機能も強みの一つ。2023年末からはメッキ前の処理として製品を研磨する自動機を自社開発して稼働。24年度中にさらに1台の導入も検討する。

開発した自動研磨機はメッキ前の製品をバフがけして研磨する。石川社長は「最初は外注の職人らの高齢化対策で開発を始めた」と説明する。同社が取り扱う製品は小ロットが多く、平面的な製品だけでなく立体的な製品も多い。異なる製品ごとにセッティングが必要な一方、一定の量を処理しなければ自動化のメリットが出ない。「そんな自動機があるのか」(石川社長)という課題をクリアした。

開発に当たって生かした技術の一つが、多様な治具の開発能力だ。少量多品種、立体的な製品、精密メッキなどの処理をするため、一品一品に異なる治具が必要になる。できるだけ多くの製品を処理でき、なおかつうまく磨けるように治具を工夫するノウハウを積み上げてきた。石川社長は「半導体用のウエハーを歩留まり良く生産するのと同じ」という。高精度なメッキに求められる厚さの管理など品質にも大きく影響するポイントだ。

こうした技術を活用し、研磨の自動機は外部の研磨機メーカーと連携して1年半をかけて開発した。現在は関連会社に導入し、きめ細かいデータを取って検証しながら、既に量産品の加工で使用している。従来の人手による研磨に対して約3倍の処理能力があり、場合によっては手動による研磨に比べて高品質に仕上げることが可能。「万能ではない」(同)が、生産性や品質向上でも成果を上げている。

同社は少子高齢化、人手不足や外注先減少に対応するため、社内で自動化・省力化プロジェクトを推進中。蓄積した技術、ノウハウを生かしていく。

(2024/10/23 12:00)

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