(2024/10/24 05:00)
中ロが加盟するBRICS首脳会議が、ロシア西部カザンで開かれている。加盟国が5カ国から9カ国に拡大して初の会議で、参加は36カ国に及ぶ。多極的な国際秩序の形成を目指す中ロに対し、参加国の中には、経済での結び付きを求めた実利主義の等距離外交が少なくない。国際秩序をめぐる欧米諸国の対抗軸になり得るか注視したい。
他方、米大統領選次第で米国が国際社会で孤立しかねない。国際秩序を維持できるかは、欧米側にこそ大きな懸念が残る。
首脳会議の日程は22―24日(現地時間)。BRICSは1月から中ロとインド、ブラジル、南アフリカの5カ国にイラン、エジプト、アラブ首長国連邦、エチオピアが加わった。9カ国は世界人口の約半数、国内総生産(GDP)は世界の4分の1を占める。BRICSはパートナー国の創設などで、東南アジア諸国連合(ASEAN)や旧ソ連圏の陣営拡大に取り組む。
中ロはBRICS勢力の拡大により、欧米主体の国際秩序を多極化させたい意向だ。ただASEANには政治的に中立な国が多く、BRICSへの興味も商圏拡大に向けた実利主義の域を出ないとみられる。欧米への対抗軸になれるかは不透明だ。
インドはBRICSに加盟する一方、日米豪印のクアッドの枠組みを形成する。クアッドの対中包囲網にくさびを打ちたい中国は、国境問題で冷え込むインドとの関係修復を目指している。5年ぶりとなる23日の中印首脳会談を経て、両国の緊張が緩和に向かうか注視したい。
中ロが陣営拡大に動く中、欧米が“内向き”志向に傾きつつあるのが気がかりだ。世界的な“選挙イヤー”の24年、欧州では右派の台頭が散見され、米大統領選では自国第一を掲げるトランプ氏再選もあり得る。欧米諸国はあらためて結束を確認し、国際秩序を維持したい。
他方、欧米の「二重基準」に新興国は不信感を抱く。欧米はウクライナ侵攻のロシアに制裁を科し、米国の同盟国イスラエルの過度な自衛は肯定する。トランプ氏再選なら中東をめぐる新興国の不信はさらに募る。
(2024/10/24 05:00)
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