社説/衆院選と株価 不透明な国内政治、値動き注視

(2024/10/25 05:00)

27日投開票の衆院選が、株式市場に少なからぬ影響を及ぼしている。24日の東京株式市場の日経平均株価は4営業日ぶりに小幅反発したものの、15日に4万円台を回復して以降は下落基調にある。各メディアの世論調査で自公両党の苦戦が伝えられ、国内政治の先行き不透明感が嫌気されている。自公両党は過半数を維持しても「安定多数」に達しなければ株価が下落するとの予測もある。選挙結果と同時に市場の評価も注視したい。

日経平均株価は、堅調な企業業績期待から15日に一時、約3カ月ぶりに4万円台を回復していた。だが、それ以降は衆院選をめぐる各メディアの世論調査が相次ぎ、自公両党の過半数割れの可能性を伝える報道も散見された。政治資金問題の逆風を受け、市場には衆院選に対する警戒感が強い。株価は23日まで3日続落し、24日も小幅反発で3万8000円台にとどまる。

足元の外国為替市場は円安・ドル高に傾いており、本来なら株価は上昇しやすい。だが、それ以上に衆院選への懸念や、米国の株価下落が国内株に影響を及ぼしている。経済堅調な米国では利下げペースが緩やかになるとされ、上昇基調の長期金利が米株式市場の重荷になっている。日米をめぐる二つの要因を背景に、日本株の上値は重い。

三井住友DSアセットマネジメントによると、自公両党が安定多数の244議席以上を確保できるかが、株価動向を占う節目となる。安定多数とは、全ての常任委員会で過半数を占め、委員長を独占できる議席数。自公が過半数の233議席以上で安定多数244未満の場合、株価は下落すると予測。過半数を割れば大幅下落に。新政権の枠組みが問われることになる。

米大統領選も11月5日に迫る。足元の米国の長期金利の上昇と円安・ドル高は、共和党のトランプ前大統領が勢いを増しているとの観測も背景にある。同氏の再選となれば財政拡張によるインフレ再燃が懸念される。米株式市場もこれを嫌気する。

日米の選挙は予断を許さない。どの選挙結果に市場が好感するかは明らかになってきた。

(2024/10/25 05:00)

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