(2024/10/28 05:00)
第50回衆院選の投開票が27日に行われ、自民党に厳しい審判が下された。焦点だった「政治とカネ」をめぐる自民党の対応は、有権者から「納得と共感」を得られなかったと重く受け止めたい。自民党は謙虚に結果を受け止め、政治への信頼回復に全力を尽くしてもらいたい。
日本経済は大きな過渡期にある。短期的にはデフレからの完全脱却、中長期的には人口減とエネルギー問題を克服しなければならない。新内閣は経済財政運営に万全を期し、日本経済を新たな成長ステージに移行させる責務がある。だが政治の混乱は不可避な状況となった。日本経済の先行きに警戒したい。
石破茂内閣の発足から衆院選まで、わずか26日と戦後最短だった。だが刷新感は有権者に響かず、与党には厳しい選挙結果となった。自民党は裏金問題をめぐり、12人を衆院選で非公認とした。だが非公認の候補者が代表を務める政党支部に政党交付金が支給された。裏金問題の反省より選挙を優先したと、有権者には映ったのではないか。
自民党は、独立性を確保した第三者機関による政治資金の管理や、政策活動費の廃止時期などの具体的な議論を深め、有権者の政治不信を拭ってほしい。
石破首相の求心力低下は避けられない。来夏の参院選も見据え、経済で実績を重ねつつ、政治改革も進めて政権基盤を強化できるのか正念場を迎える。
一方の野党は、立憲民主党が大幅に議席を伸ばした。だが政権交代を狙いながら、野党連立政権の姿を選挙期間中に示せなかった。野党各党は共闘より党勢拡大を優先し、小選挙区で野党候補者が乱立した。野党連立政権の枠組みが不透明なまま投開票となったことは、明らかに準備不足だったと言える。
与党の政治基盤は弱体化した。新たな政権の枠組みをいかに模索するかも含め、今後の政局を注視する必要がある。日本は成長型経済に移行する千載一遇のチャンスを迎えているが、政治の混乱が水を差しかねない状況になったのでは。日本は政治改革を推進し、経済再生に向けたアクセルを踏み直したい。
(2024/10/28 05:00)