(2024/11/1 05:00)
自民、国民民主両党の幹事長らが31日に国会内で会談し、公明党を含む3党で政策協議を始めることで合意した。衆議院で過半数を割った自公両党は、国民民主の政策を一定程度受け入れる部分連合により、政権基盤を安定化させたい意向だ。近く自民、国民民主による党首会談を開くという。新政権の枠組みが形成されると期待したい。
国民民主は特別国会での首相指名選挙で、間接的に自民党を後押しする。31日の幹事長会談で、国民民主は決選投票も含めて玉木雄一郎代表に投票する意向を自民に伝えた。国民民主が立憲民主の野田佳彦代表に投票しない限り、議席数で上回る石破茂氏が首相に指名される。自公政権が維持され、基本政策が継続される可能性が高まった。国民民主の判断を評価したい。
国民民主と立憲民主はともに支持団体が連合で、連合は両党の連携に期待する。国民民主にとって自民との連立は論外だが立憲民主とも安全保障や憲法などの政策で埋めがたい相違がある。政策本位で公約を実現したい国民民主と、同党に秋波を送る自民が歩み寄り、連携して経済好循環を実現してほしい。
ただ国民民主が求める「手取りを増やす政策」は大幅な税収減を伴い、新たな財源確保という高いハードルが控える。年収103万円を超えると所得税が発生する「103万円の壁」を178万円に上げれば大規模な所得減税となり、ガソリン減税となるトリガー条項の発動は地方税収を目減りさせ、石破首相の地方創生に逆行する。消費税率の5%への引き下げは社会保障財源に影響しかねない。
石破首相は衆院選で2024年度の補正予算案は前年度の13兆円を上回る規模とする方針を表明していた。「額ありき」の感を否めない経済対策がさらに膨張しないか懸念される。費用対効果も見極め、国民民主にも歩み寄りの姿勢が求められる。
自民は政権基盤の安定化を図った上で、政治改革への取り組みを急ぐ必要がある。第三者機関による政治資金の管理や、政策活動費の早期廃止により有権者の政治不信を拭ってほしい。
(2024/11/1 05:00)