インタビュー/大王電機社長・近藤輝氏 計測システム、顧客の困りごと解決

(2024/11/13 12:00)

大王電機(兵庫県伊丹市、近藤輝社長)は、工場自動化(FA)装置やエンジニアリングサービスを提供する。計測システムの開発、計測機器の校正、半導体試験のプログラム開発の3分野で事業を展開し、中でも計測システム開発で手がける異音検査装置は顧客から根強い支持を得ている。「モノづくりの品質に関わる責任がある」と語る近藤社長に、強みとする技術や人材育成の方針を聞いた。

―事業の特徴は。

「モノづくりというよりサービス業に近いという認識だ。顧客の困りごとを聞き、どのように解決するか知恵を絞る。試験機や搬送装置を手がける計測システム開発事業はオーダーメード中心だが、自社製品として異音検査装置も展開している。人の耳による検査を装置に置き換えて自動化が可能で、24時間稼働できるメリットがある」

―装置の特徴はどのような点にありますか。

「人の感覚に頼らない定量的な検査が可能で、自動車業界で一定の引き合いがある。検査アルゴリズム『マハラノビス・タグチ法』を採用し、人の耳に近い判別が可能だ。従来製品は入力方法がシングルチャンネルだったが、顧客の要望を受けて最大4チャンネルの入力が可能な製品も販売している。音と振動を同時に測定したり、複数の方向から振動を測定したりと検査の幅が広がる」

―計測装置の開発や校正などには優れた技術者が必要です。

「当社の従業員121人のうち技術者は約80人。50代と20代が特に多く、ベテランから若手へ技能や人脈の引き継ぎに力を入れている。具体的な方法はオン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)だ。一人前になるには3―5年かかるが、1年以内の引き継ぎ完了を目指し、スピードアップを心がける」

―全社的な意識改革にはどう取り組みますか。

「7―8年ほど続けている『品質活動報告会』が取り組みの一つ。PDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルをどう回したか、不具合にどう対応したかといった内容を事業部の代表者が半年に1度、皆の前で発表して共有する。品質に対する意識が高まっている手応えがある。部内でも月1回の報告会を開き、共有に努める」

(2024/11/13 12:00)

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