(2024/11/19 05:00)
米大統領と上下両院の多数を共和党が占める「トリプルレッド」となり、トランプ次期大統領が掲げる政策の実現可能性が高まった。金融市場はトランプ次期政権の景気刺激策を織り込み、米長期金利の上昇と円安・ドル高を誘発している。過度な円安は日本の輸入物価を上昇させ、実質賃金のプラス転換の定着を遅らせかねない。円安を背景に、日銀による12月の利上げ観測が高まっている。日銀は内外の経済情勢を慎重に見極め、適切な判断を下してほしい。
トランプ氏が掲げる公約のうち、不法移民対策や関税率引き上げなどは大統領権限で行えるものの、予算や税制改正は議会承認が必要になる。トリプルレッドによりトランプ氏の政策を実現しやすい環境となり、金融市場は公約を考慮した取引「トランプトレード」の様相を呈している。18日の東京外国為替市場で1ドル=155円台を付けるなど、円売り圧力は強い。経済好循環を目指す日本経済に影響を及ぼさないか懸念される。
トランプ氏の公約は、米国のインフレが再燃するリスクをはらむ。一律10―20%の追加関税や不法移民対策は、米国の物価と人件費を引き上げる。2025年末に期限を迎えるトランプ減税(個人所得減税)の延長や法人減税は景気刺激と財政悪化の両面で米長期金利を上昇(債券価格の下落)させ、円安が進行しかねないと警戒したい。
トランプ氏は、ビジネス感覚で貿易赤字を「損失」と捉え、ドル安に誘導したいものの、皮肉な結果を招く可能性がある。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は14日(現地時間)、堅調な米国経済を受けて「利下げを急がない」意向を示し、日米金利差が意識されて円安が進んだ。一方、日銀の植田和男総裁は12月の利上げに含みを持たせており、過度な円安が一服するか注視したい。
日本は物価上昇を上回る賃金の持続的な引き上げが求められる。成長投資や中小企業の価格転嫁を推進し、円安への対応力を高める必要がある。トランプ政権の長い4年間に備え、企業は収益基盤の強化も急ぎたい。
(2024/11/19 05:00)
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