(2024/12/23 05:00)
自民、公明両党が2025年度の税制改正大綱を決定した。法人税に注目すると、経営環境が厳しい中小企業に目配りした改正と評価したい。24年度末に期限を迎える複数の軽減措置を延長し、賃上げや物価高対応に直面する中小企業に配慮した。懸案の価格転嫁も推進し、中小企業の賃上げを後押ししたい。
ただ「今後の法人税」のあり方として、税率引き上げや租税特別措置の廃止を含む見直しに言及した。行方に留意したい。
中小企業の所得はリーマン・ショック後の3倍以上に増え、法人税の軽減措置は一定の役割を終えたとの指摘もある。だが原材料高、防衛的賃上げ、不十分な価格転嫁など、足元の経営環境は厳しい。中小企業の実態に配慮し、軽減措置の延長を決めたのは適切な判断である。
中小企業は原則23・2%の法人税率について、年800万円以下の所得に15%の軽減税率が適用され、設備投資減税「中小企業経営強化税制」なども講じられている。24年度末で期限が切れるこれらの措置を2年延長する。15%の軽減税率は、所得が10億円超の企業は17%とするなど、メリハリも利かせた。
経営強化税制は内容も拡充し、売上高100億円超を目指す企業は建物も税額控除などの対象とし、賃上げ率に応じて控除も拡大する。今回の税制改正は経営難の中小と、成長意欲が高い中小双方に目配りし、バランスが取れた内容と評価する。
「今後の法人税」は税率引き上げを視野に入れる。これまで法人減税しても「意図した成果を上げてこなかった」と指摘。内部留保ばかりが積み上がり、賃上げや国内投資は低水準で推移したとし、今後は「法人税率を引き上げつつ、ターゲットを絞った政策対応を実施するなどメリハリのある法人税体系を模索する」とした。賃上げや国内投資に意欲的な企業に優遇措置を講じ、そうでない企業は増税も模索するようだ。株主還元に目を配りがちな上場企業は、賃上げはもとより、多様なステークホルダー(利害関係者)に配慮した利益還元がこれまで以上に求められると留意したい。
(2024/12/23 05:00)
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