(2024/12/24 05:00)
少数与党の石破茂政権は、2025年度の与党税制改正大綱に続き、同年度の政府予算案も“見切り発車”を余儀なくされる。国民民主党と「年収103万円の壁」、日本維新の会とは「教育無償化」を継続協議するため、税制も予算も最終的な内容を確定できずに越年する。いずれも人手不足や少子化に対応する重要施策である。各党は熟議を重ね、財政規律に配慮しつつ最適解を導き出してほしい。
自民、公明両党は、20日に決定した25年度の与党税制改正大綱に、「年収103万円の壁」を「25年に123万円」に引き上げる方針を明記した。178万円への引き上げを求める国民民主党との協議が決裂し、ひとまず与党案の123万円を大綱に盛り込まざるを得なかった。
ただ自公は国民民主の支持がなければ25年度政府予算案を可決・成立できず、年明けも協議を継続する。とはいえ壁が123万円より上がればそれだけ税収も減り、税制も予算案も修正を迫られる。123万円なら税収不足は6000億―7000億円だが、国民民主の要求を満額回答すれば7兆―8兆円に達する。自公国には財源に目配りした現実的な対応を求めたい。
自公は日本維新の会との連携も模索する。維新が掲げる教育無償化を25年度予算案に盛り込めば、協力を得られるとみる。維新は衆院の議席で国民民主を上回る。維新が特に重視する高校授業料の無償化(所得制限なし)のための経費は6000億円という。ただ維新が求める幼児教育・保育料や小中学校の給食費、大学授業料まで踏み込むと額は兆円単位になる。まずは高校授業料無償化に絞るなどメリハリを利かせる必要がある。
政府が週内の決定を目指す25年度予算案は、前年度の112兆5717億円を上回る額が想定される。社会保障関係費や防衛費が増額し、金利上昇で国債費も過去最高を更新する見通しだ。自公と国民民主、維新との協議は、予算案の衆院採決前の25年2月中旬まで続く。協議では費用対効果を十分に検証し、財源を確保しつつ人手不足・少子化対策の歩みを進めたい。
(2024/12/24 05:00)
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