(2020/1/13 05:00)
フェローテックホーディングスの技術群が“熱のマネジメント"に貢献
自動車メーカーの開発が加速する電気自動車(EV)。フェローテックホーディングス(HD)は“EVの温度”を操る重要な技術や製品を持つ。同社の戦略に迫る。
同社は半導体関連のシリコンウエハーや製造装置用の治具・消耗品の製造、販売が主力事業。半導体関連と並ぶ柱となるべく2018年1月にオートモーティブプロジェクトを立ち上げた。
フェローテックHD傘下のフェローテックのサーマルマテリアル部オートモーティブ営業課の二ノ瀬悟課長が「サーモモジュールであれば、熱のマネジメントの問題を解決する。磁性流体は熱輸送や放熱をする」と話すように同社が世界トップシェアを持つサーモモジュールと磁性流体といった同社のコア技術を応用して車載製品メーカーに訴求している。
EVではバッテリー(リチウムイオン電池)の性能が走行距離など車の性能に直結する。一般的にバッテリーは温度が高ければ寿命の劣化が早い。温度が低いと充電能力が低くなるといった特性があり、一定の温度調整機能がないと最適なパフォーマンスを発揮できないといった問題点がある。
空気圧縮機や水冷式でバッテリーを温度調整をする方法もあるが、サーモモジュールの優位性を「空気圧縮機より軽量で、水冷式より温度調整機能が高い。一定の評価はいただけるだろう」とサーマルマテリアル部の八田貴幸部長は強調する。
サーモモジュール(ペルチェ素子)は、対象物を温めたり、冷やしたりする半導体冷熱素子。異なる性質を持った半導体素子に、直流の電気を流すと熱が移動、一方の面が吸熱(冷却)し、反対の面が放熱(加熱)するというペルチェ効果を応用したもの。同製品でバッテリーの最適な温度管理をして性能を高め、安定した走行距離の実現に寄与するという考えだ。
また同社が開発した「感温性磁性流体」も見逃せない技術だ。同流体は磁石に引き寄せられる磁性流体の特性に加え、高温より低温の流体が磁石に引き寄せられる特性を持つ磁性ナノ粒子を極めて安定に分散させた流体。一般的にEVのモーターやインバーターなどの発熱する機器を冷却するには冷却水を利用し、ポンプなどの機械的駆動で循環させている。
同流体を冷却水の代わりに配管内に満たし、流路の高温部と低温部の間に磁石を設置すると、低温側に引き寄せられる磁力で機械的な動力を使わずに、流体を循環できる。バッテリーの消費も抑えられるといった側面もある。同流体は2019年6月に販売を開始し、すでに企業の基礎研究所や学術機関と共同研究を始めている。
車載用にサーモモジュールや磁性流体に加えてパワー半導体用基板を用いたさまざまなアプリケーションを提案し、同時並行的に研究開発を進めている。マグネティックマテリアル部の廣田泰丈部長は「中長期的にはサーモモジュールと磁性流体を組み合わせた製品も考えていきたい」とさらなる開発をもくろむ。「当社の製品に顧客のニーズがあることは確認できた。早く製品化までこぎ着けたい」(二ノ瀬悟課長)とプロジェクト発足後の2年を振り返る。変革期と言われる自動車業界。同社の技術を訴求していくとともに、業界の発展に貢献していく。
同社のコア技術を車載向けに応用した製品、技術を1月15日から東京都江東区の青海展示棟(東京テレポート駅 徒歩2分)で開かれる「第12回オートモーティブワールド」に展示する。ブース内(A4-54)では製品プレゼンテーションも行う予定。
【製品プレゼンテーションプログラム】
(2020/1/13 05:00)