社説/五輪と感染症対策 安全・安心な開催レガシーに

(2021/6/23 05:00)

感染拡大の防止と東京五輪・パラリンピックの安全な開催をどう両立させるのか。世界が日本の取り組みに注目している。

政府や東京都、大会組織委員会、国際オリンピック委員会などの5者会談で、観客数を定員の50%以内、最大1万人と決めた。沖縄県を除き、緊急事態宣言が解除になるのを待っての決定だった。

国民には五輪の開催そのものや、有観客への不安感が根強い。これまでのプロ野球やサッカーJリーグの開催では、会場内で大規模感染は発生していない。ただ、五輪の開催規模はケタ違いで、会場内よりも会場外での人流の増加による感染拡大の懸念が指摘されている。

組織委員会は、選手や大会関係者の行動に関するプレーブックを作成するとともに、観客にも大声を出しての応援を控えることや、自宅や宿泊施設への直行直帰を求めている。

東京都はパブリックビューイングの中止を決めた。賢明な判断だ。大人数での応援がスポーツイベントの醍醐味(だいごみ)なのは確かだが、今回は自宅で家族と応援するスタイルを徹底させたい。喜びの情報共有には、会員制交流サイト(SNS)などのICTを活用するサービスの提供が期待される。

大会スポンサーとなった企業にとっても、苦渋の思いだろう。本来なら開催に向けてさまざまなプロモーション活動が予定されていたが、それもやりづらい状況にある。

五輪パラの開催を巡り、国民の意識が分断するのは何としても避けたい。大会の安全な実施に、国民が一致協力するという意識の醸成が重要だ。政府や組織委は開催の意義を丁寧に説明をする必要がある。

コロナ下でも海外から選手や関係者を受け入れ、安全を守りながら大会をやり遂げられたことが、最大のレガシーになるはずだ。世界がこれから日本で起こることに注目している。

東京五輪パラに、人生を費やして努力してきたアスリートの活躍を、会場でテレビの前で歓声ではなく精いっぱいの拍手で応援したい。

(2021/6/23 05:00)

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