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28ヵ国が参加するダイソン国際エンジニアリングアワード 2021

(2021/8/25)

カテゴリ:商品サービス

リリース発行企業:ダイソン株式会社

28ヵ国が参加するダイソン国際エンジニアリングアワード 2021

会話を瞬時に字幕表示し、聴覚障害者との豊かなコミュニケーションを実現するシステム「See-Through Captions」が日本国内最優秀賞を受賞


一般財団法人 ジェームズダイソン財団は、次世代のエンジニアやデザイナーの支援・育成を目的に、同財団が主催する国際エンジニアリングアワード、James Dyson Award (以下、JDA) の国内最優秀賞作品を含む上位3作品を発表しました。今年は、世界28か国から2,000以上の作品が集まりました。今年の国内最優秀賞は、筑波大学大学院 鈴木 一平氏ら5名チームによる、ろう・難聴者が聴者とより豊かなコミュニケーションを実現するシステム「See-Through Captions」に決定しました。本受賞作品には賞金2,000ポンド(約27万円*¹)が贈られます。



「See-Through Captions」は、ろう・難聴者が聴者とより豊かなコミュニケーションを行うために開発された、透明ディスプレイ上にリアルタイムに字幕を表示するシステムです。ろう・難聴者の音声情報へのアクセシビリティ向上は重要な社会課題の1つであり、音声認識を使ったリアルタイムの文字起こしは、声を聞き取りづらい人の日常生活を支援する重要なツールとなりつつあります。しかし、認識結果の確認のために目線が画面に釘付けとなり、相手の表情・ボディランゲージを見落としてしまうという問題がありました。「See-Through Captions」は、耳が聴こえないメンバーと研究活動に取り組むチームが新型コロナウイルスの影響でゼミをオンラインで実施することなったことをきっかけに、オンラインゼミで活用できる音声字幕化システムを開発したことが出発点にあります。本システムを用いることで、ろう・難聴者は相手の表情や仕草を見ながら字幕を読めるようになり、既存の字幕表示手法では欠落していた身体情報も活用しながら聴者と会話することが可能となります。

今回の受賞を受け、チームリーダーの鈴木氏は次のようにのべています。「私たちの開発チームには、耳が聴こえないメンバーがいます。研究活動を行う中で、彼とのコミュニケーションをいかに充実させるか、ということは我々にとって日常の重要な課題でした。 JDAの募集課題には、”シンプルな工学原理を採用し、明確な問題の解決に取り組むデザイン”とあり、これは、私たちのプロジェクトとも大きく共通する点です。私たちの大きな目標は、”耳が聞こえない方々の生活をより豊かにするシステムの実現”です。そのためにも引き続き超えるべき課題解決に向け、より様々な環境での実証実験に取り組みながらより良いシステムの実現に向けて改良を重ねていきたいと考えています」。

*¹ 参考金額:1ポンド=137円 発表時の為替相場に応じて換算

また、国内準優秀賞は、下記の2作品に贈られます。

・美姿勢メガネ(B.S.M) : 
 従来であればレントゲンなどの病院備え付けの装置でしか測定できなかった背骨の形状を把握することで、
 人々の姿勢を美しい姿勢に変貌させる美姿勢メガネ

・Behind the game   : 
 試合状況に応じて瞬間的にロボットの自動化レベルを調節し、リモートスポーツを実現させるシステム


< JDA2021 国内最優秀賞  See-Through Captions >



概要
「See-Through Captions」のコア機能は、自動音声認識機能と、マイク越しに入力された音声を字幕化・表示する機能です。加えて、コミュニケーションの質を向上させるために、表示デバイスに両側から見える透明ディスプレイを採用したことで、ろう・難聴者と聴者の双方から字幕結果を確認することが可能なりました。特に聴者は発話内容と字幕結果の齟齬がないかを確認することができます。さらに、こうした字幕は個々人で読みやすさが異なるため、デザインを可変にする必要性があります。「See-Through Captions」は、文字サイズやフォントの変更、振り仮名の有無の指定といった制御ができ、これらの操作を行うためのユーザーインターフェースも提供されます。設置型と持ち運び型の2タイプがあり、設置型は聴者とろう・難聴者の1対1のコミュニケーションを想定し両者の間に設置して使用することが可能です。また、持ち運び型については、聴者が透明ディスプレイを持ち運びながら字幕表示を行うシステムとなっています。

URL:https://www.jamesdysonaward.org/ja-JP/2021/project/see-through-captions/

製作者
鈴木 一平氏 筑波大学大学院 人間総合科学学術院 情報学学位プログラム
山本 健太氏 筑波大学大学院 人間総合科学学術院 情報学学位プログラム
設楽 明寿氏 筑波大学 図書館情報メディア研究科
百田 涼佑氏 筑波大学 情報学群 情報メディア創成学類
飯嶋 稜氏  筑波大学 情報学群 情報メディア創成学類

JDA国内審査員 緒方壽人氏コメント:
「自動音声認識技術は日進月歩で進化しており、導入コストや技術的なハードルも下がりつつあることから様々な分野への応用が期待されている。その中で、”See-Through Captions”は、音声認識技術と透明ディスプレイ技術を組み合わせることで、場所を問わず、リアルタイムに、相手の表情を見ながら会話を文字で表示することを可能にしている。実証実験も実施されるなどの開発プロセスも評価した。マスク越しで口元が見えない、距離をとる必要があるなど、ろう・難聴者だけでなくコロナ禍におけるリアルなコミュニケーションの課題解決にもなっている。」

JDA国内審査員 川上典李子氏コメント:
「普及している音声認識技術のさらに先に目を向け、コミュニケーションの質そのものが探られていること、それも表情や身体表現の重要性をふまえた開発である点を高く評価した。コロナ禍で実感した課題に始まり、今日の技術を巧みに活かして解決策を導きだしている点も注目する。また、既につくば市役所での試験導入も行われているとのこと。検証を重ね、多様な環境で活用されるシステムとなることを期待したい。」


<JDA2021 国内準優秀賞 美姿勢メガネ (B.S.M)>



概要
近年の世界的かつ急速な情報端末の普及により、それを使用する人々の悪い姿勢や、それに伴う肩こりや腰痛が社会経済的に大きな損失を生んでいます。そこで、背骨形状を把握することで、人々の姿勢を美しい姿勢へ変貌させる美姿勢メガネの開発に取り組みました。本デバイスには、加速度センサとToFが搭載されており、頭部傾斜角と視距離を測定します。この2つの値だけで、背骨の形状、医学的に重要とされている脊椎の角度を極めて高い精度で背骨の形状を推定することができます。このメガネを用いて、予防医学の観点から、人々の姿勢を矯正し、背骨の健康を支えたいと考えています。

URL:https://www.jamesdysonaward.org/ja-JP/2021/project/beautiful-posture-glassesbpg/

製作者
高橋 佑生氏 東北大学 工学部情報知能システム総合学科

JDA国内審査員 八木啓太氏コメント:
「コロナ禍において、悪姿勢はますます切実な健康課題となっている。本提案は、頭部傾斜角と視距離から脊椎姿勢を推定し、予防医学に基づいて評価・レコメンデーションを行うなどの点で、医工が連携した健康増進ソリューションとして具現化されたおり、評価したい。今後、デバイスの小型軽量化やバッテリライフ、コストといった社会実装課題を克服し、広く世界の健康に貢献されることを期待したい。」

JDA国内審査員 川上典李子氏コメント:
「背骨形状(姿勢)に関する研究を整形外科の専門家と行うなど、医学的根拠を積み重ねながらの真摯な取り組みとなっている。高精度での背骨形状測定をどこでも手軽に行えるデバイスの実現は画期的であり、予防医学を支える重要な存在となることはもちろん、スポーツなど他分野で活かされるなどの可能性も感じる。社会実装に向けた今後の展開が注目される。」


<JDA2021 国内準優秀賞 Behind the game>



概要
物理的に行うスポーツは、私たちの日常生活において重要な役割を果たしていますが、それを遠隔で行うのは困難な場合があります。遠隔によるタイムラグは、遠隔地のプレイヤーの反応速度と行動の正確さを低下させ、プレイヤーが自身でゲームをプレイしているという主観的な体験を損なわせてしまいます。そこで、ユーザーの運動を予測し、先んじてロボットが行動することで遅延を解消するなど遠隔でのパフォーマンス向上とプレイヤーの良好な体験の提供を両立させるシステムを開発。エアホッケーでの検証後に卓球など、同様のコンセプトを応用可能なスポーツへ展開し、新しいリモートスポーツの文化を生み出したいと考えています。


ULR:https://www.jamesdysonaward.org/ja-JP/2021/project/behind-the-game/


製作者
前川 和純氏 東京大学大学院 先端学際工学専攻
齊藤 寛人氏 東京大学 先端科学技術研究センター
岡崎 菜琳氏 東京大学大学院 情報理工学研究科 システム情報学専攻
笠原 俊一氏 東京大学 先端科学研究センター

JDA国内審査員 緒方壽人氏コメント:
「スポーツやエンターテインメントなどの様々な分野が「不要不急」とされ様々な制約の中で厳しい状況に置かれている。”Behind the game”は、まさにコロナ禍で奪われてしまったスポーツに欠かせない『同時性』や『身体性』という課題をテクノロジーによって解決し、離れた場所にいる人同士が共に身体を動かしプレイできる『リモートスポーツ』の新しい可能性や楽しさを垣間見せてくれる。生命を守ることが優先されるのはもちろん大事なことですが、生きる意味や喜びを感じさせてくれる様々な分野にも改めて目を向けていきたい。」

JDA国内審査員 八木啓太氏コメント:
「ユーザーの運動予測、および物理モーションも含めた遅延解消技術は、実証例のエアホッケーに限らず、他のリモートスポーツへの応用可能性があり、さらには、時空間を越えたリアルタイムの協調体験・作業のアプリケーションにも有効である。コロナ禍におけるスポーツやエンタメ、協調作業等の課題に対して、未来の可能性を示唆する提案であると評価したい。」

今後の審査の流れ
上記3作品を含む各国作品群は国際第2次審査に進みます。その中からTOP20作品が選ばれ、ダイソン創業者ジェームズ ダイソンによる国際最終審査に進みます。選考結果は、TOP20を10月13日に、最終結果を11月17日に発表予定。国際最優秀賞受賞者には、賞金30,000ポンド(約411万円*²)を、受賞者が在籍または卒業した教育機関に寄附金5,000ポンド(約68万円*²)が贈られます。また、ジェームズ ダイソン アワードのInstagram (英語のみ)やDyson Newsroom (日本語)でも最新情報を適宜ご案内いたします。

JDA2021国内審査員


緒方壽人氏 デザインエンジニア/Takram ディレクター
ソフトウェア、ハードウェア問わず、デザイン、エンジニアリング、アート、サイエンスまで領域横断的な活動を行うデザインエンジニア。東京大学工学部を卒業後、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)、リーディング・エッジ・デザインを経て、ディレクターとしてTakramに参加。


川上典李子氏 デザインジャーナリスト
「AXIS」編集部を経て1994年に独立。21_21 DESIGN SIGHT アソシエイトディレクター。国際交流基金主催のデザイン展のキュレーションにも関わり、「London Design Biennale 2016」日本公式展示キュレトリアル・アドバイザー等。武蔵野美術大学、長岡造形大学、桑沢デザイン研究所非常勤講師。


八木啓太氏 デザインエンジニア/Bsize(ビーサイズ株式会社)代表取締役
2011年、ハードウェアスタートアップBsizeを設立。同年、世界で最も自然光に近いLEDデスクライト“STROKE“を上市し、たったひとりの家電メーカー「ひとりメーカー」として話題に。NHK連続テレビ小説「半分、青い。」で「ひとりメーカー」公証として制作協力。現在は、AI・IoT技術を応用した見守りロボットGPS BoTを展開。JDA2006入賞。その他受賞歴に、Good Design賞、Red Dot賞、iF賞 等

*² 参考金額:1ポンド=137円 受賞発表時の為替相場に応じて換算予定

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