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(2018/3/28)
カテゴリ:その他
リリース発行企業:株式会社ファンケル
株式会社ファンケルは、筋肉から分泌されるホルモン「マイオカイン」(1)に着目し、皮膚組織との相互作用について研究を行ってきました。その結果、精油の中にある機能成分が「マイオカイン」の分泌を促進することを発見し、肌の弾力維持やコラーゲン産生に関わることについても確認しましたのでお知らせいたします。本研究内容は、2018年3月25日~28日に開催している日本薬学会 第138年会 (於:石川県金沢市)で、「C2C12細胞筋管由来マイオカインが皮膚線維芽細胞(2)に与える影響解析」として、一般ポスターの展示で発表しました。
<研究結果>
【「マイオカイン」が肌の弾力維持とコラーゲンの産生促進に関わることを確認】
皮膚の線維芽細胞とコラーゲンから作成されるコラーゲンゲルは、人工的な培養真皮モデルとして使われ、このゲルが持つ収縮作用は、収縮率が高いほど肌の弾力があるという肌の弾力性の指標になることが確認されています。そこでこのゲルを「マイオカイン」の混合液で培養して混合培養液とし、ゲルの収縮率を確認しました。その 結果、「マイオカイン」を多く含む混合培養液ほどゲルの収縮率が高くなり、「マイオカイン」が肌の弾力性維持を高めていることが分かりました (図1)。また同混合培養液で線維芽細胞を培養したところ、「マイオカイン」の含有量が多いほど細胞活性が高まり、コラーゲン産生量が増加することも確認しました(図2)。これらのことから、「マイオカイン」は細胞活性を高めてコラーゲンの産生を促進し、肌の弾力性を上げることが分かりました。
【「マイオカイン」の分泌を促進させる成分を発見】
「マイオカイン」は筋肉の動きや温度などの適切な刺激によって分泌量が増え、逆に筋肉の動きが少ないと 分泌が低下すると言われています。そこで、運動不足などで筋肉に蓄積する乳酸を用いて、その蓄積量の異なる環境を再現して「マイオカイン」の分泌量を調べました。その結果、乳酸の濃度が高いほど分泌量が減少することが分かりました(図3)。さらにこの関係性を用いて、「マイオカイン」の分泌を増加させる成分を探索しました。その結果、精油として化粧品の成分にも使用されるローズマリー油、カミツレ油、ニュウコウジュ油に、乳酸の蓄積に より低下したマイオカインの分泌量を回復させ、さらに増やす効果まであることが分かりました (図4)。
現代社会は、スマートフォンの依存が高いなど実際のコミュニケーションが減少し、顔の筋肉である表情筋をあまり使わない生活習慣になっています。そのため、血行不良が起こり、肌の弾力性に重要な「マイオカイン」の分泌量を減らしているとみられます。今回の研究結果から、「マイオカイン」が肌の弾力維持とコラーゲンの産生促進に関係していることが分かりました。また、精油には香りによるリラックス効果だけでなく、機能成分として筋肉に直接働きかけることで「マイオカイン」の分泌を増加させることも分かりました。一連の結果から「マイオカイン」の分泌量の増加は、肌のたるみ防止となることが期待できると考えられます。
<研究背景・目的>
皮膚線維芽細胞は真皮に存在し、肌のハリや弾力に重要なコラーゲンなどのタンパク質を産生して、たるみの予防を考える上でとても重要な細胞です。また、「マイオカイン」は筋肉から分泌されるホルモンで、糖尿病や肥満、動脈硬化、がんなどを運動によって予防する健康増進効果が期待できる要因として近年、注目を集めています。 真皮と筋肉の組織は、肌の内部で密接に関係すると考えられていますが、「マイオカイン」の皮膚機能に与える 影響はあまり知られていません。そこで、当社では、運動不足や血行不良の環境を再現し、「マイオカイン」の分泌が皮膚細胞に与える影響について研究を行いました。
<本研究結果による製品開発>
本研究の成果を応用して、顔の表情筋をあまり使わなくなったことで起こる肌のたるみにアプローチができる スキンケア製品の開発を行っております。また、今後も「マイオカイン」と皮膚機能の研究を進め、今までにない新しい切り口のアンチエイジング効果を発揮する化粧品開発に努めてまいります。
【用語説明】
(1)マイオカイン: 筋肉から分泌されるホルモンの総称。筋肉自身はもちろん、皮膚、肝臓、腎臓、脳などさまざまな臓器の生理機能に影響を与えることが近年注目されている。
(2)皮膚線維芽細胞: 真皮に存在し、コラーゲンやエラスチンなど、肌のハリや弾力に重要なタンパク質を産生している細胞。
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