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(2018/3/28)
カテゴリ:その他
リリース発行企業:株式会社ファンケル
株式会社ファンケルは3月26日(月)に、長瀬産業株式会社(東京都中央区、代表取締役社長・朝倉研二)と発酵技術を用いて新たな化粧品素材を開発する共同研究契約を締結しましたのでお知らせいたします。当社は、発酵生産物(1)に含まれる機能性ペプチド(2)について、皮膚に対する生理機能の解析を行っています。この共同研究契約を機にさらなる発酵生産物の化粧品への応用に関する研究を進めてまいります。
<研究背景>
発酵とは、微生物の持つ代謝経路を用いて、物質を変換させ新たな物質を作る技術で、食品や化粧品などさまざまな分野で応用されています。当社においても、微生物発酵で作られた物質の新たな可能性に着目し、 素材開発を行っています。2016年に発売した60代のマチュア世代向け化粧品ブランド「ビューティブーケ」には、発芽玄米を特殊な酵母で発酵させて開発した独自原料の「発芽米発酵液」を配合しました。また、発酵技術を用いた新たな化粧品素材開発も進めています。しかし、効率良く発酵生産物を得るためには、さらなる生産技術の拡充が必要と考えました。
そこで、発酵生産方法の技術に優れ、発酵生産による研究開発を行っている長瀬産業株式会社との連携を検討してきました。このほど、当社の有する皮膚科学分野の評価技術と、長瀬産業株式会社の生産技術を相互に共有し、発酵技術を用いた化粧品素材の共同研究をすることに合意しました。
<今後の展開>
発酵技術を用いて化粧品素材を開発する方法は広く使われています。微生物による発酵生産物は、植物抽出液を使った発酵技術などで新たな有効性が発見されており、発酵に用いる微生物を変えることで、さらにさまざまな機能を有した生産物ができる可能性があります。今後はその可能性を引き出すことができるように、当社と長瀬産業株式会社の双方の研究資産を活かし、よりスピード感を持って化粧品素材の開発に努め、製品化へ向けたあらゆる活用を目指してまいります。
【用語説明】
(1) 発酵生産物
酵母、乳酸菌など、微生物の代謝により生産される発酵液および含有される物質。発酵生産物は、医薬品、食品、化粧品に広く利用されている。
(2) 機能性ペプチド
複数のアミノ酸がペプチド結合したもので、構成するアミノ酸の種類によりさまざまな機能性を有する。微生物
が保有する酵素により、タンパク質がアミノ酸や低分子化されたペプチドに分解される。
【参考】
「発芽米発酵液」のアンチエイジング効果を検証
発芽玄米には、GABA(ギャバ)や食物繊維が豊富で、高血圧改善、血糖値の上昇抑制作用、血圧低下作用、便通の改善作用、肌のコラーゲン量の増加作用など、多くの有用性素材であることを当社の研究で明らかにしてきました。そこでこの発芽玄米を特殊な酵母で発酵させ、新たな化粧品素材である「発芽米発酵液」を開発し、すぐれた肌なじみの効果とともに、コラーゲン、ヒアルロン酸の産生促進効果を発見しました。
発表リリース (http://www.fancl.jp/news/pdf/20170616_hatsugamaihakkouekiantiagingkinou.pdf)
さらに詳細な機能を見つけるために、「発芽米発酵液」を添加した肌細胞において、皮膚に関連する遺伝子を幅広く解析した結果、白米を発酵させて得られた発酵液とは異なる遺伝子に作用していることが分かりました。中でも、ハリのあるコラーゲンを作るために必要な「コラーゲン同士をつなぎとめる重要な遺伝子」を高めることが確認されました。
今後は、この「発芽米発酵液」のすぐれたアンチエイジング効果の解明のため、発芽玄米の発酵後に生み出された成分、さらには発芽米発酵液には含まれて、白米発酵液には含まれない成分に着目するとともに、新たな発酵生産物の原料開発に向けた研究も行っています。
「桜発酵エキス」の17型コラーゲンへの作用
桜由来の酵母を使って製造した日本酒の酒粕からエキスを抽出し、スキンケア製品に応用することを検討しています。
この酒粕のエキスには、一般的な酵母によって製造される酒粕のエキスとは異なるペプチドが多く含まれていることを確認しました。 そこで、一番肌の表面に存在するコラーゲンで、外的ストレスによるダメージを特に受けやすい特徴を持つ17型コラーゲンについての 影響を調べました。その結果、17型コラーゲンを分解する酵素を 抑制する効果が確認されました。
また、本エキスと桜酵母の原材料である桜の花から抽出したエキスの複合成分を「桜発酵エキス」とし、同様に17型コラーゲンへの 影響を調べました。その結果、17型コラーゲンの産生促進効果が 確認されました(図1)。
17型コラーゲンは、もっとも肌表面に存在することから、老化が気になり始める30歳前後の肌ダメージケアに重要なコラーゲンであると考えます。そこで今後は、この「桜発酵エキス」を、老化の始まりによる初期の肌ダメージケアをする化粧品開発へ活用してまいります。
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