[ その他 ]
(2016/1/5 05:00)
今年の干支は「申」(猿)。申という字は樹木の果実が熟して、固まっていく様子を表したもの。また、稲妻の形象ともいわれ、電の原字とされるため、威勢の良さを感じさせる。猿の字をあてるようになったのは、十二支を庶民にも広く浸透させるためだったとか▼ことわざにもよく登場するため、身近な存在。だが、申に示へんをつけると「神」に転じて、霊験あらたかなものという意味が込められる。猿を山の神と敬うこともあり、富士山を信仰する浅間神社のように、猿を神の使いと崇拝する神社も少なくない▼「災難が去る」の「去る」と読みが同じことから、厄除けの縁起担ぎにも猿は登場する。京都御所では鬼門とされる東北の角に猿の彫物を据えている。これは「神猿(まさる)」が「魔去る」に通じるため▼一方で、京都御所の東北方向、比叡山の麓にある延暦寺の別院・赤山禅院では拝殿の屋根の上に猿の置物が安置され、御所を守護する役割が与えられている▼猿は器用で対応力のある賢い動物とされるが、「猿まね」とか「猿芝居」など愚かな行為に形容されることもある。予想外のことが次々に起こる世界では、猿の進化形である人間が知恵を絞り、自ら道を切り開いていかねばならない。
(2016/1/5 05:00)