[ オピニオン ]
(2016/1/19 05:00)
総合スーパーの不振が続いている。イオンやイトーヨーカ堂など大手スーパーの2015年3―11月期は営業段階で大幅な赤字を計上した。各社はこれまで種々改革に取り組んできたが、従来の延長線上の改革では浮上できないことが明確になりつつある。ゼロベースでの見直しが必要な局面に入っているといっていい。
不振といっても食品や衣料品、住居関連商品を同じ店で買える総合スーパーの機能が消費者から支持されなくなったわけではない。問題は「価格にしても商品政策にしてもワクワク感がなくなった」(ある食品スーパー幹部)という指摘に集約されるだろう。
例えばドン・キホーテは、衣食住に加えてスーパーが縮小してきた家電までそろえているが、業績は好調だ。コンパクトな総合スーパーともいえるドンキが支持されるのはなぜか。品ぞろえや売り場作りにあたって、ドンキは自ら”猥雑(わいざつ)感“を標榜(ひょうぼう)している。つまり特徴をもった商品政策、売り場作りが要因だ。
かつてダイエーを創業した中内功氏は「(スーパーは)歌舞伎座ではなく、ストリップ劇場であるべきだ」と言ったことがある。中内氏らしい個性的な表現だが、その意味するところは「こんな商品があるのか」、「これがこの価格で買えるのか」など、見たことのない商品を”発掘“する楽しみ、驚きの価格による”ワクワクドキドキ感“を消費者に提供することにあった。
しかし現在の総合スーパーは、立派な舞台を用意して同じ出し物を延々と演じる劇場になっている。過不足なくナショナルブランドをそろえた売り場では店舗は同質化するばかり。消費者はそこにマンネリを感じているだろう。
総合スーパーという業態が誕生して半世紀以上が経過した。店舗数や組織の拡大した大手各社は、直営面積の縮小などに急激なカジを切る施策はとれないかもしれない。雇用を維持する必要もあるだろう。それでも専門店やネット通販の台頭など販路が多様化する中にあっては、総合スーパーは解体的な作り直しが必要だ。
(2016/1/19 05:00)
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