[ その他 ]
(2016/3/31 05:00)
NHKの連続テレビ小説『あさが来た』が4月2日に最終回を迎える。平均視聴率20%を超す人気で、主人公“白岡あさ”から元気をもらってきた人も多いことだろう▼主人公のモデルになったのが明治時代に活躍した女性実業家・広岡浅子。17歳で嫁いだ大阪の両替商・加島屋で商才を磨いた。維新後、家業が傾いた時には北九州の炭鉱を買収して経営に乗り出し、家業を立て直して一族の危機を救った▼懐にピストルを忍ばせて炭坑夫と渡り合う気迫はまさに男まさり。着物姿が普通だった時代に洋装を取り入れ、銀行や生命保険会社を設立して女傑と呼ばれた。その強さの源は転んでも転んでも起き上がる“九転十起”の精神にあったようだ▼浅子と同じく九転十起を座右の銘としたのは明治から昭和の実業家・浅野総一郎。セメント産業の祖であり、京浜工業地帯の礎を築いたことで知られる。両者の共通点は座右の銘だけでなく、教育に力を尽くしたこと。浅子は日本女子大学の設立に貢献し、総一郎は浅野学園を創立した▼浅子は一線を退いてからも亡くなる前年まで御殿場の別荘で毎夏、合宿勉強会を開き、女性の活躍と社会進出を支援した。生き方そのものが尊敬に値する人だった。
(2016/3/31 05:00)