[ その他 ]
(2016/4/14 05:00)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、週明けにも金星探査機「あかつき」による定常観測を始める。2010年に軌道投入に失敗したものの、15年12月に再投入に成功した。観測には研究チームだけでなく、国民も期待の目を向けている▼あかつきの目的は、時速400キロメートルという超高速で大気が移動する金星の「スーパーローテーション」現象の解明だ。観測カメラなど6台の観測装置を駆使し、地表や微量ガスなどを監視することで金星の大気循環を3次元で可視化する▼地球に最も近い惑星で、大きさもほぼ同じ金星は歴史的に”双子星“と言わてきた。だが過去の各国の探査機による観測の結果、常に硫酸の雲が立ちこめ、地表面の温度は400度C以上と、生命が暮らすためにはあまりにも過酷な環境が知られている▼あかつきプロジェクトの科学担当である今村剛さんは「(地球も)化石燃料の燃焼などで、硫酸の雲の層が厚くなるかもしれない」と指摘する。未来の地球環境が金星に似るとしたら、いまの現象の解明は無関係とは言い切れない▼人は他人のことは分かっても、自分のことは意外に分からないもの。宇宙を知ることは地球を、さらに人類が自分自身を知ることにつながる。
(2016/4/14 05:00)