[ その他 ]
(2016/4/15 05:00)
地方都市の空き家の増加が問題になっている。経済衰退や少子・高齢化だけでなく、日本の不動産取引が新築住宅に偏重していて中古の流通市場が小さいことも要因となり、思うような値がつかない▼私事ながら、郷里の空き家の買い手を3年かけてようやく見つけた。木造住宅は20年も経つと実質価値がほぼゼロになる。思い出の詰まった建屋ごと買ってくれた人には感謝しているが、親の資産と呼ぶにはささやかな額だった▼「地方では、不動産への投資なんて怖くてできませんよ」―。ある上場企業トップはそう話す。現在の不動産価格は40年前とほぼ同水準。20年間かけて上昇してバブル期に最高となり、20年間かけて長期低落を続けてきたと分析する▼逆に「価格が下がらないのは生活に関係ないものや趣味のもの。アートもいい」。このトップは外車を何台も保有しているそうで、それも資産運用の一環という▼住宅は庶民にとっても投資とは言いがたく、耐久消費財に近い。マイナス金利時代で預金利息も一段と低下するとなれば、何を頼って蓄えをすればいいのだろう。教育・教養や医療など本当に大切なものの価値は将来も下がらないとは思うが、やっぱり投資対象としては難しい。
(2016/4/15 05:00)