[ 政治・経済 ]
(2016/4/16 05:00)
熊本市は16日未明に再び、震度6強の大きな揺れに襲われた。14日以降、大きな揺れが続いており、その被害は広がっている。(熊本支局長・勝谷聡)
熊本市東区には金属加工やメッキ加工などの中小企業8社が集まっている「総合鉄工団地」がある。入居するメッキ加工の熊防メタル(熊本市東区)は、事務所の外壁がはがれ落ち、工場の窓ガラスが窓枠ごと落ちてガラスが砕け散った。前田博明社長は「大きな揺れと余震で生産ラインのクレーンがメッキ槽に落ちた。メッキ剤が跳ね上がり、混ざり合ってしまった。溶剤を安全に処理するため業界団体に応援を依頼した。月曜日から復旧にかかる。しかし交通事情が悪く身動きが取れない」と心配する。
団地の関係者は、14日夜以降の地震の復旧活動を16、17日の土日に計画していたと口をそろえる。しかし16日未明の「本震」とみられる強い揺れと、その後も続く余震ですべて振り出しに戻った。熊防メタルの前田義則総務部長は「復旧計画を立てたばかりで昨夜の大揺れが来た。自宅も大変なことになっている」と厳しい表情だ。
熊本市内にある別の金属加工会社では天井が抜け落ち、割れた窓ガラスや多くの金属部品が床に散乱し、プレス機が倒れた。「従業員と家族のためにも廃業はできない。行政には復旧のための補助金など、製造業復興を目指した施策の実施を求める。しかしこの状況では復旧は簡単ではない」(金属加工会社社長)と途方に暮れる。
また、事務所ビルの窓ガラスや外壁が崩れ落ちたサッシメーカーの社長は「工場の中がめちゃめちゃ。今の段階では今後のことはわからない」と肩を落とした。
(2016/4/16 05:00)