[ その他 ]
(2016/4/19 05:00)
天災は忘れたころにやってくる―。物理学者で随筆家でもある寺田寅彦が、1923年(大正12)の関東大震災をきっかけに使い出した警句という。誰もが知る名言だ▼未曾有の被害をもたらした東日本大震災から5年。その惨状に、熊本県と大分県の新たな震災が重なって見える。震度7の「前震」に続くマグニチュード7・3の「本震」(震度6強)。その後も震度5―6級の強い揺れが続く事態は前例がない▼地震学者は戸惑いを隠せず、気象庁は説明資料の「余震回数」という表現を「地震回数」に改めた。被害は拡大し、18日昼の時点で死者は40人超。まだ行方不明者もおり、一刻も早い救助が必要だ。さらに20万人近くが避難所などで、衣食にすら事欠く生活を強いられている▼想定外の連続地震で、産業界への打撃も先週末の想定より大きくなっている。サプライチェーンの複線化など、これまで企業が積み重ねてきた災害対策の真価が問われる▼多くの地域でライフライン復旧のめどがたっていない。被災者の支援は待ったなしだ。東日本大震災と同様、ブログやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が現地から”生の声“を伝えてくる。その声に最大限に耳を傾けたい。
(2016/4/19 05:00)