[ その他 ]
(2016/4/20 05:00)
米国のオバマ大統領が、5月の伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)後の広島訪問を検討している。実現すれば現職大統領としては初の被爆地訪問。それ自体が謝罪と受け取られかねないとの慎重論も根強いという。今なお戦後が続いていることを思わせる▼人体を構成する60兆個の細胞は常に新陳代謝している。諸説あるものの、1―2年でほとんどが入れ替わるとされる。それで別人になるわけではない。国家もまた、国民の大半が入れ替わっても過去の歴史を背負う▼企業の従業員も毎年、細胞のように少しずつ入れ替えが進む。一般には、およそ40年で古い世代はいなくなるといったところか。ただ企業には“死”があるし、他と遺伝子を掛け合わせて別の個体が“誕生”することもある▼シャープと台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の間で、幹部を中心に社員の接触が始まった。「あのスピード感は、素直に凄(すご)いと思う」と、シャープの技術者は両社の違いに驚きを隠さない▼郭台銘会長が一代で世界最大の電子機器受託生産会社へと成長させた鴻海と、長い歴史の中で栄枯盛衰を味わったシャープ。異なる文化と歴史を持つ二つの遺伝子が混ざり合う時、どんな企業が誕生するだろうか。
(2016/4/20 05:00)