【熊本地震】県内の輸送、徐々に再開

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  荷車にたくさんの荷物を載せて土砂で崩れた道を下る人（２０日午前、熊本県南阿蘇村）

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  外国人向けの避難所が開設された熊本市国際交流会館（１９日午前、熊本市中央区）

物流各社が地震の影響で中止していた、熊本県内の輸送を徐々に再開している。ヤマト運輸は１９日から、熊本県のほぼ全域で宅急便の集配を再開。日本郵便も熊本県向けのゆうパックの受け付けを再開した。また、佐川急便も被害が大きい阿蘇市など一部地域を除き、集配を再開。これにより、滞っていた緊急支援物資の輸送が、円滑化することが期待される。

■物流

ヤマト運輸は１９日から、熊本県向けの宅急便の荷受けと、熊本県全域での集荷を再開した。避難所への発送も受け付けている。阿蘇市や阿蘇郡、上益城郡では、自宅や会社への配達ができないため、熊本県内にある４０の営業所で受け取りができるようにしている。

ヤマトは熊本県をはじめ、九州の一部地域では荷物の遅延が発生し、余震などで道路事情が日々変化しているため、送り状には必ず携帯番号を記載するよう呼びかけている。

日本郵便も１９日から熊本県向けのゆうパックの受け付けを再開した。ただ、阿蘇市、阿蘇郡、上益城郡などについては、一時的に引き受けを停止している。また、荷物の遅延などが発生しているため、保冷のゆうパックの受け付けは停止している。

佐川急便も被害が大きい一部の地域をのぞき、輸送を再開したものの、避難所への救援物資の輸送は受け付けていない。

日本通運は２０日から、熊本県向けの荷物の受託や、県内の一部地域での配達や集荷を再開した。

■化粧品

地震発生から１週間。化粧品メーカーによる被災地支援の動きが始まっている。現地では交通網の寸断や集積拠点の混乱で、支援物資が被災者に行き渡らない事態も生じている。こうした中、各社は「必要な物を、必要な時に、必要なだけ」、被災地の要請に応じて物資を支援できる体制を整えている。

コーセーは頭皮にのばした泡をタオルで拭き取るドライシャンプー、拭き取り化粧水を含んだ頭皮用のシート、ボディーシートなどを「要請があり次第、出荷できる」よう準備を整えた。

資生堂は20日、水がいらないシャンプーとボディーシートを22日に緊急支援物資集積所に届けると発表した。「受け取り体制が整わなければ迷惑になる」ため、今後も状況に応じた支援を検討する。

化粧品ブランド「ソフィーナ」などを持つ花王は、子会社のカネボウ化粧品と支援体制を一体化。自社に設置した対策本部と、グループの販売会社、物流会社とが連携し「通常の製品供給と並行して支援物資を届けている」（花王）という。まず、生活用品を優先し、被災地のニーズに応じて化粧品の供給も始める方針。

日本化粧品工業連合会は経済産業省や化粧品メーカーと連携し、手配可能な物資の確認を急いでいる。「（被災地の）現場も混乱している」（粧工連）ため、現地で必要な物資情報が十分でないという。シャンプーやボディーシートの一部は要請を受け、既に九州に発送した。５年前の東日本大震災では「洗顔シートとボディーシートが喜ばれた」（同）。

地震発生後の初期段階では小売りや食品メーカーが水や食料を、次の段階では日用品メーカーが生活必需品などの支援物資を届けている。支援の輪が広がっている。