[ オピニオン ]
(2016/4/26 05:00)
伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)まで、あとちょうど1カ月。開催地である三重県では、各方面で準備が追い込みに入った。一方で“特需”にも恵まれている▼なにしろ開催決定後、三重県は訪日外国人観光客の対前年伸び率が全国トップ。県内の金融関係者は、伝統的な日本旅館の経営者が不振のホテルを買い取って外国人専用に改装する計画を打ち出したことを例に「外国人観光客が増えていることを肌で感じた」と話す▼訪日客の消費は“爆買い”に代表されるモノへの支出から、サービスを体験することへの支出に移りつつある。豊かな伝統文化、自然景観を持つ地方にチャンスがある▼「サミット開催決定で海外の経済人と話がしやすくなった」と、経済産業省出身で県知事の鈴木英敬さん。三重の認知度が高まった一つの証拠だろう。伊勢神宮や熊野古道など日本古来の文化を感じさせる観光資源を、サミットで来県する各国の政府関係者や報道陣に知ってもらうのが次の戦略だ▼ただサミット特需で開催地の観光客が増えるだけでは、主要国の首脳がわざわざ極東に集まる意味が乏しい。5月の本番では、世界経済の安定と持続的成長に向けてサミット本来の成果を期待したい。
(2016/4/26 05:00)