[ オピニオン ]
(2016/4/25 05:00)
NHKの朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』。生活情報誌『暮しの手帖』の創始者の一人、大橋鎭(しず)子さんがモチーフだ。幼少期を過ごした浜松市周辺の名所が幾度も画面に登場し、地元は盛り上がっている▼主人公の通学路で、大井川にかかる蓬莱橋は世界一長い木造橋。長さ897・4メートルは「厄なし」に通じ、縁起の良い橋とされる。母娘で二人三脚の練習をした中田島砂丘では、大型連休中の浜松祭りで勇壮なたこ揚げ合戦が繰り広げられる▼主人公は早世した「とと(父)」に代わり家族を支える。ととの生前の勤務先が染色工場。スズキやヤマハなど輸送用機器や楽器メーカーが知られるが、かつては綿織物や伝統技法の注染(ちゅうせん)そめなど繊維産業が盛んだった▼スズキの前身は鈴木式織機製作所。トヨタ自動車グループの始祖、豊田佐吉翁は浜松の隣、現在の湖西市に生まれて自動織機を開発した。すでにドラマの舞台は東京へ移ったが、幼少期の思い出として映し出される風景は、情緒的で美しい▼朝ドラに続き、2017年の大河ドラマは井伊直虎が主人公の『おんな城主直虎』。これも浜松が舞台だ。早くも経済効果をはじくなど、浜松経済界のドラマ効果への期待は、まさに”うなぎ上り“。
(2016/4/25 05:00)