[ オピニオン ]
(2016/6/22 05:00)
遠心力と求心力、どちらが働くか。英国の欧州連合(EU)離脱を問う国民投票が、明日に迫った。現地の伝える情勢は予断を許さない。
そもそも英国は欧州統合の骨格である単一通貨ユーロにも、国境検査を撤廃したシェンゲン協定にも参加していない。仮に英国民が離脱を選んだとしても、欧州大陸との経済関係は激変しないはずというのが最も楽観的な意見。
「そうは甘くない」という識者が大半だが、ではどんな影響が出るのか。英国離脱で他国からも統合への不満が噴き出し、EUの一体運営が困難になるという予想もあれば、逆に残った各国の結束が強まるという説もある。
英国の先行きも判然としない。歴史的な外交巧者の国に戻るとも思える。しかしEU発足後の英国は自らは通商交渉などを経験しておらず、外交官も育っていないという。スコットランドや北アイルランドでEU加盟を目指した独立運動が高まるという見方も一理ある。要するに明確な見通しがある人はいないのだ。
ただ、この問題が日本にとって“対岸の火事”に終わらないことは覚悟しておく必要がある。直接の打撃がなかったはずのリーマン・ショックですら、日本経済は追い詰められた。世界は実に狭くなった。
(2016/6/22 05:00)