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[ 科学技術・大学 ]
(2016/7/12 05:00)
東京大学大学院新領域創成科学研究科の細井優大学院生、芝内孝禎教授らのグループは、京都大学大学院理学研究科の笠原成助教、松田祐司教授らと共同で、鉄系超電導体の一種において、ある組成を境に電子状態が大きく変わる臨界点(特異点)が存在することを明らかにした。電子がある一方向にそろおうとする液晶のような性質を示しており、超電導が現れる機構を解明する上で重要な手がかりになる。
従来、鉄を含む化合物に現れる鉄系超電導は、磁気的な特異点と密接に関わると考えられてきたが、今回、磁性を持たない全く新しいタイプの特異点を発見した。
鉄系超電導体の中でも、磁性が現れないという特色を持つ物質に注目し、元素の置換量を系統的に変化させた研究を行った。これにより、非磁性の新しい特異点を見つけた。
この新しい特異点近傍では、本来互いに等価な方向においても、電流の流れやすさが大きく異なるという異常な電子状態にあることが分かった。
宇宙の成り立ちを知るのにブラックホール(一種の特異点)を調べるのが役立つように、物質の電子状態の起源を解明するためにはその特異点を調べることが重要。今後、この特異点近傍の電子液晶性と超電導の関係を調べ、超電導の機構の解明につなげる。
成果は米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された。
(2016/7/12 05:00)
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