[ オピニオン ]
(2016/8/5 05:00)
ブラジル・リオデジャネイロ五輪がきょう(日本時間6日朝)開幕する。選手には日頃の鍛錬の成果を存分に発揮してもらいたい。そして4年後はいよいよ東京五輪・パラリンピックだ。リオ五輪のプラスとマイナスの両面を学ぶとともに、「2020年」に向けて日本の諸課題の解決を急ぎたい。
21日の閉会式には安倍晋三首相も出席する予定。就任したばかりの小池百合子東京都知事に五輪旗が渡り、次回大会の成功を託される。
残念ながら東京五輪の準備では不協和音が聞かれる。新国立競技場はじめ地元の費用負担について、見直しを公約した小池知事が当選した。国との再協議は当然だが、必要な費用を互いに押しつけ合うだけでは五輪を招致した意味がなくなる。3日に就任した丸川珠代五輪担当相との率直な話し合いで、早期に決着させてもらいたい。
幸いなことに産業界の支援体制は堅固であり、公式スポンサー集めも順調と聞く。あとは五輪開催に向けた国民の期待を高めていくことが必要だ。
日本にとっての本当の課題は、2020年までに首相が約束した「日本再興」を果たせるかどうかである。政府は20年度までに東日本大震災の復興・創生事業を総仕上げするとともに、国内総生産(GDP)600兆円と基礎的財政収支の黒字化という目標を掲げている。どれも容易なことではない。
特に五輪招致の理由として国際社会に訴えた震災復興は16年度が折り返し点。インフラ復旧のための「集中復興期間」が終わり、次の「復興・創生期間」で地方創生のモデルとなる「新しい東北」実現を目指す。観光業の振興や水産加工業の販路拡大など、産業再生に資する施策によって東京五輪を世界に誇る「復興五輪」にしたい。
このほかにも東京のインフラ再整備や外国人観光客誘致のための諸施策など、越えるべきハードルはめじろ押しだ。これまで官民とも、多くの課題を「2020年」を目標に設定してきた。その解決に踏み出さねばなるまい。
(2016/8/5 05:00)