[ オピニオン ]
(2016/8/5 05:00)
夏の盛り。通勤で最寄り駅に行く道で毎朝、セミの大合唱に包まれる。“音のシャワー”を浴びているかのようだ。
ずっと聞いていると「シャーシャーシャー」という鳴き声が耳に残る。関東に住んでいた時には「ジリジリジリ」や「ミーンミーンミンミン」に慣れ親しんでいたので、妙に新鮮に聞こえる。調べてみると「シャーシャー」の声の主はクマゼミ。特に大阪にたくさんいるらしい。
関東で「ジリジリ」と聞こえるのは主にアブラゼミ。山沿いで朝晩「カナカナ」と甲高く鳴くのがヒグラシ。セミの声は地域によって違う。神戸ではアブラゼミをよく聞くし、大阪でもクマゼミがあまりいない地域もある。必ずしも関西が同じ分布でないことも面白い。
セミは幼虫として数年間、土中で過ごすものの、成虫は地上で数週間しか生きられないことで知られる。“我が世の夏”が短くはかない存在ではあるが、土の中が本当はホームグラウンドという見方もできる。
8月も下旬になれば、道ばたでセミのなきがらをたくさん見つけられるようになる。今年は暑い日が長く続くとの予報だが、きっと鳴かなくなったセミを見ながら秋の気配を実感することだろう。7日の立秋も目前である。
(2016/8/5 05:00)