[ オピニオン ]
(2016/8/8 05:00)
「お父様はガンダム世代ですか」。若手社員と名刺交換した時、思わず口に出しそうになった。これまでも難字や難読には何度も遭遇しているが、いわゆる“キラキラネーム”は初めてだった。
とっさに驚きや戸惑いを隠したつもりだったが、彼は「アニメみたいな名前で…」と気恥ずかしそうな表情を浮かべた。名刺を渡した相手の反応を予想し、先手を打つのが習慣になっているのだろうか。
名前は親が愛情を込め、考えに考えてつける我が子への最初の贈り物だ。社会でそれが違和感を持たれるか、それとも「覚えやすい」とプラスに受け取られるかは本人次第。その若者は礼儀正しく、頭の回転の速い好青年だった。
燃費不正を起こした三菱自動車。5年前の社内アンケートで新入社員が不正を指摘していたという。夢と希望を抱いて入社した若者の勇気を経営陣が黙殺したのは残念だが、一筋の光明を見た気がする。
松下幸之助は著書『若さに贈る』(PHP研究所)に「60%の可能性があれば部下に自由に仕事させる」と綴(つづ)る。さらに「若さの素晴らしさはその時は気づかない」とも。素晴らしさを生かすも殺すも組織である。若手の輝けない会社に、輝かしい未来が待っているはずもない。
(2016/8/8 05:00)