[ オピニオン ]
(2016/8/17 05:00)
IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)、ビッグデータといった言葉も、ようやく耳になじんだ。建物内に設置したカメラやセンサーで人の行動を捉え、AIで解析して誘導や購買につなげる研究や実験が進んでいる。
しかし現実は、これらの言葉が登場する前から人の行動はデータ化され、利活用されている。代表的な例はコンビニエンスストア。店に入れば動線に従って窓側の雑誌コーナーに引き寄せられ、何となく飲み物や菓子を買って出ている自分に気づく。
スマートフォンやパソコンでも、位置情報やキーワード検索にあわせた広告が表示される。便利になったと感じるだけで、違和感を持たない人もいるだろう。
見ず知らずのだれかに自分の行動を監視され、何をするかを予測される。そう考えれば居心地の悪さを感じる。とはいえ自分を監視している“だれか”は、無機質で感情を持たない電子回路でしかないのだが。
チェスや将棋、最難関とされていた囲碁もコンピューターが勝利を収めつつある。いずれIoTやAIによる人間のコントロールも、さらに巧妙になる。その頃の人間は操られていることを自覚できず、自らの意思で将来を決めたと信じているのだろうか。
(2016/8/17 05:00)