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[ 科学技術・大学 ]
(2016/9/9 05:00)
東京工業大学の藤井慎太郎特任准教授と木口学教授、大阪大学の櫻井英博教授らは、1平方インチ当たり600テラバイト(テラは1兆)の記録密度の分子メモリーを開発した。直径1ナノメートル(ナノは10億分の1)のおわん型の有機分子「スマネン」を緻密に並べ、探針で裏表をひっくり返してデータを記録する。今後、1平方インチ1000テラバイト超の記録密度を目指しており、高い記憶能力を持つ高機能材料として開発を進める。
読み出しと書き込みには走査型トンネル顕微鏡(STM)を利用する。スマネンを金基板上に塗布して洗浄し、真空中に置くと、スマネンがおわんの口を上に向けた状態で緻密に並ぶ。スマネンに金の探針を近づけるとスマネンが裏返って、おわんの口を下に向けた状態になる。裏と表ではスマネンの金基板との接続状態が変わるため、電気抵抗の違いをデータとして読み出せる仕組みだ。
表から裏、裏から表と両方向に反転させられる。分子一つひとつを操作でき、書き込んだ分子が隣の分子に影響することもないという。データの維持に電圧をかけ続ける必要がなく、データを長期間記録できる。今後、有機分子の形状を工夫し、より高密度な分子メモリーの開発を目指す。
(2016/9/9 05:00)