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[ 科学技術・大学 ]
(2016/9/14 05:00)
東京医科歯科大学生体材料工学研究所の三林浩二教授らは、息の中に含まれる微量の成分から、糖尿病の進行度の評価につながる手法を開発した。センサー中の酵素と呼気中の有機化合物「アセトン」との化学反応を利用し、20―5300ppb(ppbは10億分の1)の濃度範囲で呼気中のアセトンを測定できた。採血なしで、体の脂肪代謝の状態や糖尿病の進行度を調べる手法の開発につながる。
糖尿病患者の呼気中には健常者よりも高濃度のアセトンガスが含まれ、また空腹や運動でもアセトン濃度が増加すると報告されている。
研究チームは、「2級アルコール脱水素酵素(S―ADH)」がアセトンと反応する際、蛍光物質「還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)」が減少し蛍光が弱まることに着目した。
紫外線発光ダイオード(UV―LED)と光電子増倍管からなる検出器に、S―ADHを固定化した膜を取り付けた。同膜上でのNADHの蛍光強度が減少し、そこからアセトン濃度を見積もる仕組み。
20―80歳代の健常人の男女100人について呼気を採取し実験した。食後10―20時間以上たった空腹状態の健常人で呼気中のアセトン濃度を調べると、食後5時間未満の健常人と比べ呼気中のアセトン濃度が1・6倍であることが分かったという。
さらに30分間の自転車のペダル踏み運動を行ったところ、呼気のアセトン濃度が平常時より約30%上昇し、その後1時間半程度で運動前のアセトン濃度に徐々に戻ることを確認した。
成果は14日、北海道大学で開催する日本分析化学会で発表される。
(2016/9/14 05:00)
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