[ オピニオン ]
(2016/9/21 05:00)
米アップルはスマートフォン「iPhone(アイフォーン)7」の日本モデルの目玉として、10月中に決済サービス「アップルペイ」を始める。ここで改めて注目されるのが、個人情報の扱いだ。
日本の電子マネーは交通系の「スイカ」や流通系の「nanaco」「WAON」、クレジットカード会社が発行する「クイックペイ」「iD(アイディ)」など、いずれもソニーの非接触技術「フェリカ」を採用している。各種の電子マネーの共用端末がコンビニエンスストアなどで普及。ポイントカード等でもフェリカが少なくない。
これまでスマホではグーグル仕様のアンドロイド携帯のみがフェリカ対応だった。アイフォーンも日本国内モデルに限って対応を決めた。一方でアイフォーンならではの工夫もある。例えば登録作業が簡単なこと。スマホのカメラでクレジットカードやデビットカードの券面を撮影するだけで登録できる。
もう一つ、注目されるのは個人情報の扱いである。アップルペイはスマホ利用による購買履歴を、アップルも小売店も一切保存しない仕組みだとティム・クック最高経営責任者(CEO)が明言している。
個人の商品購買履歴はビッグデータ分析の格好の材料だ。履歴や所在地情報をトレース(追跡管理)すれば、好みの商品やイベント紹介などきめ細かなサービス提案ができる。ただ、こうした履歴の利用を個人客が明示的に了解していない場合、勝手にトレースすることは個人情報保護の面で問題がある。
ビッグデータ利用が進むと、逆に「個人情報を収集しない」ことが価値となる可能性がある。アップルペイはその先駆けとして注目される。NECと三井住友銀行の合弁会社が2017年2月から始める「コンビニ収納サービス」も、個人情報を収集しないことで利用者に安心感を提供する。
個人情報を守りつつ、利便性を高めてほしいというのが多くの利用者のニーズだ。事業者が、それにどう応じるかが問われている。
(2016/9/21 05:00)
総合4のニュース一覧
- 英EU離脱/「日本経済にマイナス」51%、設備投資に影響−帝国データ調べ(16/09/21)
- 【熊本地震】産総研・熊本大、早期復興へ連携−企業を技術的支援(16/09/21)
- 社説/アップルペイの戦略−個人情報非収集、安心感で普及狙う(16/09/21)
- わが友わが母校/一橋大学−NTTデータグローバルソリューションズ社長・大西俊介氏(16/09/21)
- 東商、第14回「勇気ある経営」大賞にキミカ(16/09/21)
- アイカ工業、高齢者複合施設に建材提供(16/09/21)
- [ビジネスインドネシア]トヨタ販売台数、67%増(16/09/21)
- [ビジネスインドネシア]小麦製品の輸出が好調(16/09/21)