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[ 科学技術・大学 ]
(2016/10/3 19:00)
スウェーデンのカロリンスカ医科大学(ストックホルム)は3日、2016年のノーベル生理学医学賞を大隅良典東京工業大学栄誉教授(71)に贈ると発表した。授賞理由は「オートファジー(自食作用)の仕組みの発見」。酵母を使い、細胞が不要なたんぱく質などを自ら分解し再利用する現象「オートファジー」の観察に初めて成功した。
日本のノーベル賞受賞者は25人目。生理学医学賞の受賞は、15年の大村智北里大学特別栄誉教授(81)に続き4人目となる。授賞式は12月10日にストックホルムで開かれ、賞金800万スウェーデンクローナ(約9500万円)が贈られる。
大隅氏は東京大学助教授時代の1988年、飢餓状態にした酵母の細胞内の小器官「液胞」がたんぱく質などを取り込み、分解するオートファジーの過程の観察に世界で初めて成功した。その後、93年にオートファジーに関連する遺伝子を特定するなど、同現象はあらゆる動植物の細胞が備える基本的機能であることを示してきた。オートファジー関連遺伝子は「Atg遺伝子」と名付けられ、これまでに18個見つかっている。
オートファジーに関する論文の発表件数は、90年代初頭に年10件程度だったが、現在は同5000件程度に増えており、世界中で研究が進められている。近年ではオートファジーの異常が、がん、神経疾患などの病気の発症や老化といったさまざまな生理機能に関係することが明らかになってきた。
オートファジーのメカニズムの解明がさらに進むことで、こうした病気の解明や新たな治療法の開発につながることが期待されている。
【略歴】おおすみ・よしのり 72年(昭47)東大院理博士単位取得退学、74年同大学理学博士取得。74年米ロックフェラー大研究員。77年東大理助手、86年講師、88年同大学教養学部助教授。96年岡崎国立共同研究機構(現自然科学研究機構)基礎生物学研究所教授。09年東工大特任教授、14年栄誉教授。05年藤原賞、06年日本学士院賞、09年朝日賞、12年京都賞、15年加ガードナー国際賞、同年国際生物学賞など受賞多数。福岡市出身。
(2016/10/3 19:00)