[ オピニオン ]
(2016/10/4 05:00)
毎年のように日本人のノーベル賞受賞が報じられるようになったが、その中でも格別の栄誉を感じる。東京工業大学の大隅良典栄誉教授の生理学医学賞受賞は、自然科学分野で日本人3人目の単独受賞だ。
ノーベル賞の中でも文学賞は、その性格からして共同受賞はない。過去の川端康成氏も大江健三郎氏も単独だ。平和賞は年にもよるが、国連関連の機関や国境なき医師団など、組織での受賞が珍しくない。
自然科学3賞と経済学賞は最大3人までの共同受賞が可能。近年は国際共同研究の進展もあり、ひとつの業績を複数の研究者で分け合うのが普通になっている。事前の大隅さんに関する予想でも、何人かの名が挙がっていた。
結果的に単独となったのは、それだけ「オートファジー」の発見に対する貢献度がずばぬけていると評価されたためだ。自然科学3賞のうち、生理学医学賞は最も日本人受賞者が少ないが、今後は利根川進氏(1987年)と大隅さんという2人の単独受賞者を誇ることができる。
さて今夜は物理学賞、5日は化学賞。単独とはいかずとも、日本人研究者の業績が高く評価されることを切に祈る。同じ年の3賞すべてに日本人が名を連ねたことは、いまだかつてない。
(2016/10/4 05:00)